必要と繰り返し

 直に夜が明ける。また日が登るまでの短いその時間を感傷に浸り、朝食を作る。

 なんでもないいつも通りの変わらない日常だ。

 俗に言う平和な日常にスパイスや甘い飴があって、それに素敵な何かが加わっていつも通りになる。まるで女の子の成り立ちを追体験しているかのようだ。

 スパイスが強かったり、飴が甘すぎたりとバランスなんて神さまの気分次第なんだろう。適当な匙加減だからこんなに悩まされ、こんなに心苦しいのだろう。

 それなら素敵な何かが素敵すぎたのもまた神さまって奴の気分次第で、きっとそれも彼を苦しめる原因の一角を担っているのだろう。

 確かな確証を求めない。そのせいでなんて苦し紛れの言い訳を言ってもそれじゃあ本当に仔犬の尻尾みたいで恥ずかしい。

 下を向いて思っても仕方がない。上を向いてないと神さまだって聞いてはくれないだろう。そもそも神さまはそらに居るというのが一般に信じられている。別にそれが事実かどうかなんて知らないし、よく考えれば無信仰者なのだから神に祈る意味はない。だから辞めようと踏ん切りを付ける。

 そうしてやっと感じていた重みを克服する。きっとまた同じことを繰り返すのだろうが、それも悪くはない。

 失敗の積み重ねが成功を導く。成功したかった事はもう過去にしかないが、いつか必要な“成功”の為に今日も失敗を続ける。沢山の汗と涙と後悔を垂らして失敗して毎日を過ごせば必要な事も知りたい事も自ずと出てくるだろう。いつか、なんて考えてもしょうがない。いつかはきっとやって来る。

 繰り返せば繰り返すだけ積もったものが成功になるのだ。失敗の山を積んで一握りの成功を得る。それだけで十分生きていける。

 何故なら先人曰く失敗は成功のもとなのだから。

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