第24話 ユンちゃん

 そして、また、バーに行って知り合ったのが、イギリス出身の英語教師であるクリスティーナである。ナンパしたらことのほかうまく行った。しかし、付き合って間もなく、彼女は私が精神状態を崩していることに気づいたようだ。


 ある晩、彼女のマンションに行ってチャイムを鳴らしたのだが、彼女は不在だった。そのうち帰ってくるだろうと考え玄関口で待っていると、彼女の代わりに、スクーターに乗った警官が現れた。


 そして、最初に来た警察官にちょっと、免許証見せてくれませんか?と言われたので提示すると、ピストルなんか持ってないだろうなと今度は問われた。「ボディ・チェックでも何でもしてください。ところで、あなた本当に警察官なんですか?」と言うと、彼はIDを見せた。


 次いで、もう二名、スクーターに乗った警官が現れた。そして、そのうちの一人の警官がクリスティーナの部屋に行った。そして、私に「彼女、もう付きあってないって言ってんで」と大声で言った。寝耳に水であった。


 少しすると、今度は、白い車に乗った刑事、男性二名、女一名が現れて、女の刑事に、「もう、別れてあげぇ」と言われたが、別れるもへったくれも向こうが「付き合っていない」と言うのだから、何を言っているのだこの女は!と思い、激怒した。


 そして、署に連れて行かれ、警官が、もうストーカーしないという文書に指紋を押せと言う。ストーカーなんかしてないぞ!今日、別れたって話を聞いたばかりなのは、アンタたちも知ってるだろう!とまた激怒した。こうなれば、とことん黙秘でもしてやろうかと思ったが、腹が減っており焼き鳥を食いに行きったかったので押して出てきた。

 

 そして、江坂に行って焼き鳥を食い、韓国系の風俗に行った。出てきたユンちゃんは、手足が長く、美人であった。「結婚しようよ」と私が言うと、「そうしよう!」とノリの良い娘だった。彼女は、ホテルに行こうと言う。私は、彼女の仕事が終わるのを待って、車で行った。朝になって、彼女は、阪神デパートの7万円の白いコートが欲しいと言うのでクレジットカードを家に取りに行った。


 帰宅すると、会社を休んだ弟がいて「お兄ちゃん、今、躁や。病院行って!」と言われた。


 「何?躁?何を言っているんだ。俺は、今絶好調だぞ!」

 

 しかし、弟が会社を休んでまで頼んでくるのだから、よほどの事なのだろうなと思い、私は弟の運転する車で病院へ連れて行ってもらった。そして、診察を受けたのだが、やはり躁と診察された。私は、この数週間のハイの状態が躁うつ病の躁であることが分かっていなかった。女遊びも病気がそうさせるものだった。


 一連の女遊びは私の病気がそうさせたので私に非があるわけではない。そのことは、ここで強く断じておきたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る