第3話 別離

「さようなら」

と俺は言った。

「ああ」

とあの人も笑顔でいう。

 俺はその場を立ち去り難かったが、意を決してくるりと踵を返す。

 すると、あの人はじっとこちらを見ていたがやがてコツ、コツ……と足音が聞こえ、それが遠ざかっていった。


 俺は歯を食いしばり、足を前にふみ出す。一歩、二歩。

 けれども、それ以上はなぜか進むことができなかった。


 ――なんだか前がよく見えない。と、ほおに何かが伝う。


 ……どうしてこうなってしまったんだろう。

 そう思うが、俺にもあの人にもその理由は分からなかった。




 お題箱ガチャで書きました。

 サヨナラなんて似合わないはずなのにサヨナラをする2人

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