第2話 自己紹介

「( そろそろ現実から戻って、両親の紹介をしようと思う)」


 父は、アモンと言い今年23歳で冒険者をやっている。茶髪でソフトモヒカンな髪型をしている何処かの酒場とかにいそうな、かませ犬っぽい見た目をしている。


「(しかし、カッコよくて俺の自慢の父ちゃんだ)」


 母は、アーシャと言い24歳でアモンのパーティメンバーをしていたそうだ。青髪で肩に髪が掛かるかどうかのミドルヘヤーのスレンダー美人である。


「(ちょっとツリ目で、キツイ印象があるけど、優しい自慢の母ちゃんだ)」


 子供は、フェルディと言う兄ちゃんが居たが1歳を迎える前に流行り病で亡くなったらしく、今は次男の俺だけだ。今世は、[フィデリオ]と名付けられ、親しい人には[リオ]と呼ばれている。父ちゃんと同じ茶髪のソフトモヒカンな見た目をしている。


「どうだ、リオ。祝福はスゲーだろ。父ちゃんも初めて見たときは興奮したもんだ」


「リオも大きくなったね。無事に健やかに育ってアタシはホッとしているわ」


 ボーッとしていると突然、父と母が話しかけて来る。後ろから話しかけられて驚きはしたが、俺はようやく祝福を実感できた。


「お、おう! 祝福スゲーな父ちゃん、母ちゃん。あんなの初めて見たよ。まるでおとぎ話の魔法みたいだよ!」


 祝福の光景は本当に幻想的で、俺はまるで遊園地に初めて行って遊ぶ幼子の様に興奮しはしゃぎまくった。そんな俺を見て父は呑気に答えた。


「へぇー。リオは魔法を知ったんだなー。俺も魔法は少しばかり出来るけど本職の母ちゃんには負けるから習うなら母ちゃん頼んどけよ。俺は前衛職だから身体の使い方は教えてやるよ」


 父や母の職業も気になったが、俺はステータスを早く確認したくて、興奮した表情で確認方法を問いかけた。


「おう。分かった。それよりも早く俺のステータスを見たいんだけど……どうすりゃいいの?」


「リオ、教えるから、そんなに焦らないで頂戴。ステータスを確認するには、心の中で"ステータス"と思うと、自分にしか見えない少し透明な板が、目の前に現れるのよ」


「ヘェ〜、そうなんだぁ」


「それとね、身分証明書として使うときは"ステータス表示"って言葉にすると、相手にも見えるようになるわ。でも、簡単だけど注意が必要だね。使わないときは、"ステータス非表示"って言うと消えるから安心してね」


「うん、うん、分かった!」


 俺は母の説明に便利さを感じ納得した表情で何度も頷く。


「(折角だし、確認してみるか。"ステータス")」


[名前]フィデリオ

[年齢]5歳

[種族]妖精種 クォーターノムルス

[強度]1

[力量]生力25魔力20筋力10速力15知力10器力10

[職業]未決定(一覧)

[技能]

[称号]異世界の転生者(非表示)、イシュリナの祝福を受けし者


「父ちゃん、母ちゃん。ステータス確認できたよ。それとステータス確認で思ったんだけど俺って人間種じゃないの? 強度ってなに? 称号ってどうやってとるの?」


 確認できた俺は、さっきよりも興奮して、両親に確認できた事を伝える。そして、頭に浮かんだ新たな疑問を投げかけた。


「待て待て待て。落ち着けってな。ちゃんと答えてやるから先ずは落ち着け。まず、種族についてだが……俺が妖精種のハーフノムルスで、母ちゃんが妖精種のハーフウンディアなんだよ。


 だからリオはクォーターノムルスなんだ。強度は〜なんつうか母ちゃん任せた。称号は神様や大勢の人が認めた証みたいなもんだ」


 父は、頭を掻きながら種族と称号を説明する。強度の説明は難しかった為に困った表情で母に丸投げした。


「ちょっと! アンタ何が任せたわよ。う〜ん強度は、その人の体や心の強さみたいなものを表したんだよ。食べ物を食べたり、危険な事だけど戦ったりすると体が強くなっていっていく証のことかな? だから、好き嫌いすると強くならないぞ〜」


 母は、父が答えるものだと思い楽しんでいたが、丸投げされて焦り子供でもわかりやすく説明した。その際に、好き嫌いすると強くならないと俺を脅かしてきた。


「えっ! そうなの!? 嘘だろ〜。あ〜そう言えば妖精種のノムルスやウンディアって何なの? 他には、どんな種族がいるの?」


 俺は、驚きゲンナリしていると父から空腹の音が聞こえた。


「わっはっは。リオすまんな。腹が減っちまったからその話はまた今度な?家に帰って飯だ飯。母ちゃんの手料理が楽しみだ」


「なぁ〜に、アタシ一人に任せようとしてんだい。あんたも手伝うんだよ。帰り道に買い物するからあんたは荷物持ちだよ。リオ、改めておめでとう。さぁ、一緒に帰るよ」


「うぐっ。うぃー。荷物持ち任された。リオおめでとうさん。早く帰んぞ。腹が減って死にそうだ」


 飯の準備を母に任せて帰ろうとした父は、母に後頭部を叩かれて呻く。そんな父を見て笑い一緒に家に帰った。

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