ちんぼ
「ダンボ」の発音で呼んではならない。「とんぼ」の発音で呼ぶのだ。
竹林に雑然と生える【ちんぼ】。血脈の通う肉きのこ。肉感の強い珍味。
「見てみろよ、ちんぼだぜ」
ハイキングに訪れた若者二人が、竹林のちんぼを見つける。
「お前、アレ引き抜いてこいよ」
「不気味だよ」
「構いやしねえ。それにホラ、名産きのこで一旗上げりゃ、一攫千金、酒池肉林。亀頭のあぶくで、ちんぼ様様だ」
「人の敷地じゃない? まずくない?」
「御託はいいから、クソ漏らすまで俺様にタコ殴りされる前にさっさと行ってこいや、ひでき!」
命令された若者の方が、竹林に生えたちんぼに恐る恐る近づいて、それをゆっくりと地面から引っこ抜いた。
刺激を受けたちんぼから、精液が噴水のように放射状湧き上がった。
精液の飛沫が周囲の竹の側面に付着する。被害を被った竹はたちどころに頑丈な身を膨らませ、紡錘状に広がっていく。竹が妊娠しているのだ。それだけではない。竹は、みるみるうちに上空に伸びて、あっという間に月まで到達した。
けだし私たちの世界というものは、その竹の一つの内部ということになるだろう。局所的宇宙、中空宇宙。半径にして10光年の広さを持つ宇宙である
竹の中で、やがて、万物の始祖が産声を上げた。
「光あれ!それは、竹宇宙!」
竹は透明になって、あらゆる光を完全に透過するようになった。だからこそ、我々は月を見ることができるのだ。見ることができるが、半径10光年を境に、その存在は全く意味を変えるものとなる。
メカちんぼ。
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