ただ、そこにある危機

 街で起こる怪異を伴う事件に立ち向かう主人公と、その主人公に力を貸す三本足の鴉の物語です。

 ハードボイルドを思わせる硬派な文体で紡がれる物語は、主人公と三本足の鴉の関係性がただのバディものと感じさせない魅力を備えています。

 師弟であり、相棒であり、ある意味ではボケとツッコミに見える事もある二人の関係が、ともすれば重たくなりがちな戦闘シーンや事件の合間に一息、吐けるようになっている風にも感じました。

 チートや無双がメインではなく、知恵、知識、機転で戦う現代ファンタジーは、今、支持して欲しい物語です。