第6話 ENDmarker.

 警察署の前。

 三佐が来ていた。


「休みじゃなかったのか」


「ええ。連絡をもらって、一旦ここへ。昼前には帰ります。嫁がシチュー作って待ってますんで」


 彼を、三佐のほうに突き出す。


「ほう。こいつが」


「詐欺師だよ。ちゃんと報酬は二倍出せ」


「身柄はたしかに受けとりました。二倍の報酬も、既に払込済みです」


 彼の。すがすがしい表情。

 煙草に火を点けた。


「おい」


 三佐の後ろに歩きだそうとした彼を、引き留める。


「わたしが煙草に火を点けるだけで吸わない理由。教えてやろうか」


 煙草を、顔の近くに持っていく。


「ニコチンがだめでな。一定量を直接吸うと、死ぬ体質なんだ」


 彼が駆け寄ってきて。

 煙草を手で払われる。手から離れた煙草が、道に転がった。


「なんてことを」


 言った彼の顔を。殴った。液体はもう乾いていて、彼の顔に思いっきり拳がぶつかる。

 煙草の近くに、彼が転がる。近づいて、しゃがんで。 もとで、囁く。

 それだけ。

 立ち上がって、歩き出す。地面に倒れた彼は、そのままに。

 さっき落とした煙草を拾って。

 火を消した。


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