Lethal dose

@Lethal_dose

第1話

眩しい太陽が顔を出す午前7時。

気だるそうに校門を潜り校内に入る。


神浜かみはま市立 香蔵かぐら高校。


「新しいクラスは…」


廊下に張り出された掲示板を指でなぞりつつ自分の名前を探す。


「あっ、あった」


3年2組、一ノいちのせ歌恋かれんその名前を探し終えると次は隣にいる彼の名前を探す。


「…やば、無ぇんだけど」


気だるそうな声でそう呟く彼、逢坂玲於おうさかれおの名前をクラス毎に確認をする。



1組…2組…3組…指で空中をなぞり確認をしていく。


「あ、あった…」


そう言って手を止めた先には4組の8番 逢坂玲於 の名前。


「まじかよ…離れ離れか……」


そう言って残念そうに呟く玲於、

これも全て先生が決めた事だししょうがない。

諦めて2階の教室に向かい手短に別れの言葉を口にし、教室に入る。


「なぁ、昨日のテレビ見た?」


「新入生どんな奴等だろう」


「昨日さぁ、ゲームしてたらババアに怒られたよ。課題やれって…」


在り来りの日常。在り来りの会話。

その隙間を縫って、私は黒板に貼ってある座席表を確認する。


窓側から2番目の真ん中寄りの列、後ろから2番目。

微妙な席を引いたもんだ。はぁ、とため息を零し指定された席に着く。


鞄の中からスマホを取り出し無意識的にツブヤキを眺める。

ネットにはなんでも乗ってる。

推しの本名や住所、新曲の情報やおすすめのお店。

聞けばなんでも教えてくれるし、聞いたこと大抵答えてくれる。


“Lunaの新曲聞いた?”


>>聞いた!!YM《ゆめ》とのコラボでしょ?


>>やばかったよね。可愛いの具現化ってあれだよね。


>>今回の曲は甘すぎてちょっと無理かも…


>>俺は好きよ?Lunaって神曲しか作らないよね。


>>Lunaとかどこがいいんだし?自分は白派


>>Lunaって相方が消えてから落ちていってない?


>>それな…やる気あんの?


次々と書き込まれていくコメントを目で追う。

詰らない…


呆れたようにた本日何度目かのため息を零すと同時に予鈴が鳴り先生が教室に入ってくる。


「出席とるぞ~」


そう言って出席簿の名前を読み上げる

ぼんやりと自分の順番を待ちながら学校の外を流れる雲に目を向ける。


風に煽られ自由に空を流れる雲を羨ましそうな目で見ている私の耳に“一ノ瀬!!”と鋭い声が舞い込んできた。


「はっ、はい!!」


唐突な出来事に私はの視線は教卓の教師に移ると同時に席を立つ醜態の2連コンボを繰り出した。

教室のどこからか笑い声が上がる。


余りの恥ずかしさに私は小さくハイと返事をするのが精一杯で返事をすると同時に私は席に座り込んだ。

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