第21話 あれ? 働くって意外と充実してね? からのー、地獄の禁断症状!

 普通のブラック企業B社を退職後、短期間とは言え臨時の仕事にありつけたGhost。

 完全週休五日制で毎日定時で上がれるという、今までの人生で最も待遇が良い仕事のお陰で時間的余裕も確保し、役者Aの主催する劇団A組の制作に関わりながら、自分の作品(小説)作りにも勤しんでいたのだが、ここで強大な敵が立ちふさがる。

 それは、


 多量処方されていた精神安定剤からの離脱症状。


 処方箋プリンタークソ精神科医と袂を分かった事は後悔していない物のこれはこれで辛いのよぉ!




〇初めての充実した労働と、それを邪魔する離脱症状。


 事業主……と言うわけではないですが、会社に所属しない仕事はとても気楽。

 一緒に働く人達も同じ会社の社員と言う関係ではないので、距離感も程よい。ストレスも少ない。いわゆるブラック企業の人間関係って気持ちの悪いがついて回っていたんだなぁ、とこの時実感しました。


 ここでの仕事内容はとある工場で、よくわからない機械を組み立てる、と言った仕事。面白い事に大問題な事に工場内の大半の人が何を作っているのか知らない、と言う現場でした。

 しかしながら、物を作る、と言う点に関しては無駄がなく、非常に安定した品質を作りだすシステムや、働きやすい労働環境がそこにはありました。今まで意識だけは高く、けれども肥溜めの底のような環境の職場でしか働いた事の無い僕にとっては完全に天国です。


 さてこの仕事、電気工事士の資格と空気圧回路に関する教習課程を修了している人が優遇される現場で、僕はその両方をたまたま所有していた為、仕事を回して貰えたようです。いやぁ、この時まで両方とも絶対使わない資格だと思ってた(笑)


 二週間くらい働いていたとある朝。その日の空は曇り模様で、明らかに気圧が下がっているのを感じました。

 目が覚めて朝の支度をする物の、文字通り鉛のように体が重い。そのうちに手は震え始めるし、呼吸も過呼吸気味になっていく。冷や汗と悪寒が走り、動悸、息切れ、立ち眩みも連発。(風邪かなぁ)と思って熱を測ってみるも平熱。


 期間が決まっている時給制の労働ですから休んでしまうと勿体ない! そう思って無理やり体を引きずって車に乗るのですが運転して五分もたたないうちに猛烈な眠気……と言うより気を失いそうな状態。

 さすがにまずいと思って最寄りのコンビニに駆け込み、こう思いました。


(よっしゃ! 今日の所は諦めよう!)ババァン!!




〇過呼吸? んなもん息止めてれば治るんじゃい! (治りません)


 ここで僕に起きた精神安定剤からの離脱症状をご紹介!




・冷や汗、手の震え、体に力が入らない感覚。


 幸い手の震えは生活に支障のないレベルでした。冷や汗や体に力が入らない感覚についても、辛いけれど頑張ればどうにかなるレベル。

 ただし、気圧が不安定になったり、季節の変わり目などでは完全に体が動かなくなります。

 僕の周囲だけ重力が五倍くらいになったような感覚。




・むしろ感覚が鋭くなる。と言うか鋭すぎて辛い。


 一時期、舌の周りに膜が張ったような感覚と共に味覚が著しく鈍ったことがありました。

 逆に嗅覚、聴覚は鋭すぎて、機械油や安物のプラスチック製品の臭いに頭痛がするようになり、自分の耳元を流れる血液の音がうるさくて眠れない、と言った具合になりました。




・過呼吸。


 極めて繊細に設計された生命の中に潜んだミス。その一つが過呼吸。

 過剰な呼吸により、必要以上に酸素が血中に供給された結果、血中の二酸化炭素とのバランスが崩れて起こる。

 バランスを取るために無意識に延髄が呼吸を止めようとするのだけれど、大脳皮質が呼吸の辛さに異常を感じてさらに呼吸をしようとしてしまう。

 結果、過呼吸は悪化してしまう……過呼吸の概要はこんな感じ。ゆえに僕は気づいたのです。


 息止めてれば、治るんじゃん! (良い子は真似しないように。早くお医者さんに行きましょう)




・眠気の上位互換。これは名詞が存在しない症状?

 唐突にあまりにもひどい眠気に襲われることがありました。

 というか、なんて生ぬるい物じゃありません。

 と形容せざるを得ないくらい体は動かず、身体がベッドの中に沈んでいくような感覚です。

 同時に不快感、吐き気、めまい等々の不調の症状も出てきます。




 他にも離人症の症状が酷かったり、立ち眩みが酷かったり。徐々に良くはなっていくのですが、今思うと働くな! 寝てろ!!


 いやホント、ヤク抜き(不穏な言い方すんな(笑))中は水飲んで寝てるのが一番だと思う。





〇卑怯でも良いから生き抜いたもの勝ち……そもそも人に迷惑かかってないから卑怯でも何でもないんだけれど(/・ω・)/


 散々、体も頭の中も痛めつけられてきた二十代前半の時間を経て、僕は悟ったのです。


【頑張らない! 諦めた方が良い時は、さっさと諦めよう!】


 一見すると自堕落に思える発言です(笑) いや、まぁ、ダメ人間なのは否定しません。サーセン(/・ω・)/


 とは言えこの考え方、数年後何気なく投資について調べた時に知った言葉【損切】とほぼ同じ考え方でした。


【損切】

投資の後に評価額が下落した場合、難平や塩漬けするとさらに下落が続いて損害が拡大する可能性がある。撤退するための明確な根拠を持って早めに損切りを行うことは、損失の拡大を防止し、資金を守る方法として重要といわれる。(Wikipediaから抜粋)


 自分の考えを(卑怯な手段だ)を卑下した時期もありましたが、今ではという自分にとっての最大の資産に対する正しい責任の取り方だと思っています。


 他人から「根性が無い」とか「やる気がない」とか後ろ指をさされたとしても、その人が僕の人生の責任を取ってくれるわけじゃないんですから。自分を守れるのは自分だけ。

 それに自分が「これがやりたい!」と決意した時に、思いっきり突っ走っていくためにもと言う戦略的撤退を常に頭の片隅に置いておく事は結構重要な事でした。




 さてさて、(今日は諦めよう)と決意した日の事に話しを戻しましょう。

 実を言いますと処方箋プリンター精神科医と縁を切る一年ほど前から、僕は僕が飲まされている精神安定剤に疑問を持っていました。

 なので(本当はいけない事なんですが)勝手に安定剤を飲まない事もしばしば。そうこうしているうちに、我が家には手付かずの精神安定剤が大量に放置されておりました。(注、良い子は真似しないように)


 そして、この日の朝、体調がすぐれなかった僕は放置していた精神安定剤をポケットに入れていたんですね。ふっふっふ、ぬかりなし!

 とりあえず、コンビニで水を買って安定剤を流し込むと、仕事場に「体調悪くて行けないかもしれません」と電話を入れ、意識を取り戻すまで車の中で眠る気絶する事にしました。


 そんで数時間後、目覚めの時は来たり!!


 体はクソだるいし、頭もまだぼーっとするけど”動ける!!”


 これなら仕事に行けそうだと判断し、少々遅刻しながらも仕事場へ向かう……と言うようなことを月に一度くらいの頻度で行っておりました。




〇劇団A組の制作現場


 僕が臨時の仕事を請け負いつつ、精神安定剤の離脱症状に苦しんでいる同時期、役者Aが主催する劇団A組の第一回公演の準備も着々と進行中です。


 が、準備を進めやらなければいけないことが明確化されていくうちに問題点が浮き彫りになります。

 具体的には……


 圧倒的、裏方不足!


 この時点で裏方に徹する事が出来るの人間は僕一人。いやいや、無理でしょ、さすがに……と思っていたのに何を考えているのか役者A。


役者A

「Ghost君、脚本家が一番全体を分かってるから、ついでに舞台監督やってくれない?」


 と、さらに仕事を増やしてきます。どうも彼は長く演劇に関わって来たのに裏方の働きや、全体の段取りに疎く、芝居は舞台の上だけでしか行われていない、と勘違いしているようでした。


 さてこんな状態の時、このエッセイに登場する人物の中でも最上級に真面まとも(まぁ、変態は変態なんですけれど)な人物が二名登場します。


 一人は役者Aが東京で知り合ったという小説家Aさん。彼は劇団の活動のプロモーションをメインに動いてくれました。


 もう一人は僕がバンドをやっていた時に知り合ったミュージシャンAさん。彼は主に音響を担当してくれました。


 二人とも常識人でありバリバリ仕事をこなせる人でありながら

 次回のエピソードではチート級変態のお二人にクローズアップしながら劇団の運営を綴っていく予定です。


 to be continued(/・ω・)/

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