第2話 似てるようで結構違う、小説と脚本。そして全然違う、一人芝居用の脚本。

 前回のあらすじ。

 今思い返せば明らかに関わっちゃいけないタイプの人間役者Aと知り合ったGhost。頻繁にかかってくる電話と、恐ろしく中身の無い意識高い系な会話に耳を傾けつつも


「世の中いろんな人がおるんやなー」


 くらいにしか思わなかったGhostアホ

 さぁて、アホ共はどうなてしまうのかー。




○小説書いてるなら、脚本も書けるよね?


 役者Aと知り合う半年ほど前から僕は小説を書くようになっていました。

 それまで一切、小説を書いた事がないくせに、アホの子ゆえに最初から長編小説にチャレンジして毎日コツコツ書いていました。後々この小説が今後知り合う芸能事務所C社長との間での一悶着のキッカケになります。

 まぁ、それはまだ先の話し(/・ω・)/


 役者Aと知り合った時、お互いの自己紹介もかねて僕が小説を書いている事とデスメタルバンドでボーカルをやっている事を話しました。

 そんなある日、いつもの役者Aからの電話。



役者A

『Ghost君ってさ小説書いてるんだよね?』


Ghost

「ええ、書いてますよ(当時は年上と言う事もあり、一応敬語使ってた)」


役者A

『小説書けるなら脚本とかも書けるよね?』


Ghost

「いやー、書いた事ないからわかりませんね」


役者A

『東京の芝居小屋で一人芝居の企画があるんだけどさ、可能なら脚本書けないかな』


 さて突然、脚本を書いてみないか、と言われて少し驚きました。と同時に当時はまだ良い意味でも世間知らず。やった事ない事は何でも試してみたいという気持ちもありました。


Ghost

「上手く書けるかわからないですけど良いですよ(まぁ、練習がてら書いてみるのも面白いかもな)」


 小説の練習にもなるかも、くらいの気持ちで引き受けました。その後、とりあえず脚本を書いてはみたのですが……。


 ここで問題なのが、今回依頼されたものがの脚本、という事。

 書いてみてわかったのですが小説と脚本は違う。普通のお芝居の脚本ですら小説と全然違う。


 地の文による情景描写や心象描写、世界観の補足などが出来ません。いちいち”天の声”的なアナウンスを入れるのもおもむきに欠ける(逆にアナウンス主体で描いたら、それはそれで面白そうだけど)。

 なので、そこは演出(音響、照明、役者の演じ方、等々……)で作り上げていくわけですが、初めて脚本を書いた時戸惑った要素でした。


 地の文章がいかに小説を作りあげるのに必要な要素なのか実感したのですが、さらなる問題は”一人芝居”というニッチなジャンルです。


 イッセー尾形さんや柳原可奈子さんが舞台の上で一人で演じるような脚本ネタを書かなければいけませえん。

 しかし、対話する相手の不在は情景を描く材料をさらに足りなくします。キャラクターに一言、二言喋らせれば途端にキーボードを叩く指が止まりました。


 そんなこんなで四苦八苦していたところ、役者Aの家にお呼ばれして、一緒に脚本を考えてみよう、という事になりました。

 役者Aは、すでに一人芝居を数作品作り上げていた模様。ただ、彼はそれを脚本化する技術が無かったので当時はノートに書かれたちょっとしたメモと、あとは役者Aの記憶と本番のノリが頼り、といった状況でした。

 今思うと、ある意味すげぇな。口伝かよ(/・ω・)/


 何はともあれ役者Aは演じる演目を持っている。ならばそれを脚本作りの参考にしない手はありません。やったぜ!

 というわけで役者Aのノートを見せてもらいながら、演目の中身について話しを聞く事となりました……。


Ghost

「へぇ、こういう物もあるんですねー」(どうしよ……これ、メッチャつまんねー)


 役者Aのお父さんは左官屋をやっていたそうです。演目の内容はそのお父さんを参考に職人ならではの不条理を描いていた描きたかったのだと思います。


 ただしかし、この物語、全く起承転結が無い(個人的には物語に起承転結が必須とは思っていませんが……)。

 盛り上がりもない。

 演目の持つテンション? も常にダラダラ、グダグダしている。

 十分ほどの演目の間、役者Aが演じる左官職人が若手をネチネチ突くだけ、といった内容なのですが、つまらない芝居特有の演者が一人でカラ回っている姿が容易に想像できます。


 恐らくは文字化して、客観的に物語を見て、校正を重ねる、という基本的な作業を怠っている事が原因だと思われます。

 口伝の代名詞ともいえる平家物語だって元の作品の素晴らしさもあるけれど、長い歴史の中で唄い手(そして時の流れ、時間)によって研鑽されていったわけで、推敲大事だね(/・ω・)/


 ちなみに先程、役者Aは脚本化する技術がない、と書きましたが、一応彼はという病気のためだ、と言っておりました。


 失読症しつどくしょう

 読んで字のごとく、文章を読む事が極めて難しくなってしまう学習障害の一種。文字が読めないだけでなく、書く事も難しいらしいです。文字を文字として理解できなかったり、『1』と『一』が同じものと認識できないなど、中々に大変な障害です。




Ghost

「それって、医者に診断してもらったんです?」


役者A

「医者には行ってない。本読むの苦手だから、多分、失読症なんだと思う」


 それ、失読症ちゃうわーーー!

 マジの失読症の方々に謝れぃ!!

 地面に頭擦り付けて、謝らんかい!!!


 to be continued(/・ω・)/

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