第26話 VS ヤリサーのヤマカワ &妖精さんのエッチなイタズラは無理ですか? それは流石に無理です その2





 サテュロスの里は牧歌的な感じだった。


 まあ、基本的には放牧やって生活してるんだからそこは当たり前か。


 聞けば大量のヤギを飼っていて、羊の乳が主食みたいな感じで、羊毛やらを売って生計を立ているそうな。


 まあ、ヤギの獣人がヤギを大量に飼ってるってのはちょっとどうなの? 


 と、思わんでもないけど、そこは馬鹿ゲーのクオリティだ。


 設定考えてるシナリオライターがネタにしか走ってないのは既に重々承知なので、細かいとこにツッコミいれるのはヤボってやつだな。


 でも、このライターさん……真面目な時は真面目な作風なんだけど、何でネタに走ったらこう極端なんだろうな。と、それはさておき――。


一応は、俺は猫耳族と鬼人族の総代表ってことになっているので、村長さんの家に通されたんだ。


「ビールを分けて欲しいんです。物々交換でも良いですし、金銭での取引でも構いません」


 羊の乳で紅茶を煮出したホットミルクを出されたんだけど、これが中々に美味しい。


 この地域で獲れる高級乾燥フルーツなんかも出されて、これも美味しかった。


 まあ、突然の来訪者に対する応対としては、相当にちゃんとしたものだったと思う。


 ちなみに村長さんは50代のムキムキマッチョだったんだが、絶望的にモフモフ感とあっていない。


 ここに通される前に集落で見かけた、女の子はみんな可愛かったんだけどね。


「しかし、それは困りましたな」


「ふむ、困ったとおっしゃいますと?」


「ビールの原料の大麦畑は少し遠くの場所で栽培しているのですが……」


「ふむふむ」


「その場所は厳密に言うと、フェアリーの統べる領域なのです」


 フェアリー? 


 今更だけど、これまたファンタジーな単語が飛び出してきたな。


 まあ、フェアリーってのはみんなが知ってるファンタジー生物のアレのことだ。


 つまりは、小さくて羽が生えていて、花畑とかで飛んでるやつな。


 この世界では色んなフェアリーが存在しているが、大きさは大体掌サイズ。


 んでもって、エロゲなのでエッチなことも当然可能となっている。


 つっても、相互の大きさ的な問題で普通にはできないから、普通じゃない感じの夜の営みにはなるんだが。


「我々はフェアリーにお願いして……いや、協力して大麦畑を管理していたのです。フェアリーは精霊と仲が良いですしね。そうしてフェアリーから大地の精にお願いをして、大麦の質を上げてもらっていたのですが……」


 ちなみに精霊ってのは大気中に潜んでいる四代元素の集合体みたいなモノだ。


 魔法なんかの不思議な力を使う時に力を貸してくれる存在って、エリスが前に言ってたか。


 ちょっと不思議なのは身体能力強化なんかの近接系でも、精霊の加護は見えない土台としてあるらしいな。


「はい、それでどうしたのですか?」


「フェアリーは……強力な魔物に操られているようで、我々が畑に踏み入ろうとすることを拒むようになったのです」


「ふむ……」


 と、そこで俺の横に座っていたアカネが小さく頷いた。


「魔物なら、同じ森の眷属として――私たちが対処しましょうか?」


「ほう、鬼人族……モンスターハンターの血族の姫様がそうおっしゃっていただけるなら、これほど頼もしいことはありませんな」


「ああ、そこは我々に任せてもらいたい。これでも我が一族は魔物狩りのエキスパートであるし、それに我が夫は……こう見えても人間をとっくの昔に辞めている力量だ」


 あ、俺ってそういう風に思われていたのね。

 まあ、良いけどさ。


「ただし、お気をつけください」


「ふむ、気を付けるだと?」


「この近辺のフェアリーは特殊です。アーカムフェアリーと呼ばれていて、少しいたずら好きが過ぎまして……」


「悪戯……とな?」


「まあ、連中の口車や提案には乗らぬ方が賢明でしょう」


 と、そんな感じで俺たちは大麦畑の場所を聞いて、その場から出立したのだった。



 ☆★☆★☆★




 そんでもって森を歩き、俺たちはアーカムフェアリーとかいう妖精さんのところに向かっているわけだ。


 だが、どうにも俺の心に何かが引っ掛かる。


「サトル殿……どうなされましたか?」


「いやな、アーカムフェアリー……どっかで聞いたことがあるような……」


 と、その時俺は「あっ!」と声を出してしまった。


「どうなされたのですか旦那様? 顔が真っ青ですよ!?」


 そうして俺はゴクリと唾を呑み込む。


「今回ばかりは……安請け合いしないほうが良かったかもな」


「と、おっしゃいますと? どういうことでしょうかサトル殿?」



「だが、今更断れないよな……。さっき……報酬の詳細まで書いた契約書も書いちまったし」


「ええ、そうですね旦那様。大麦畑を奪還するという条件で、交易のレートも有利にしてもらいましたしね」


「しかし、サトル殿……貴方ほどのお方の顔色を……そこまで青くさせるアーカムフェアリーとは何者なのでしょうか?」


「アーカムフェアリー……奴らは……穴をねらってくるんだ」


「ふむ、穴ですか?」


「フェアリーは卵生で女しかいない。で、亜人も含めたヒト族の精子を求めているんだ。それで、アーカムフェアリーは……特にエッチなイタズラを仕掛けてくることで悪名高いんだ」


「エッチなイタズラ……?」


 ちなみにフェアリーと人間のアレのサイズは大体同じなので、フィニッシュまでもっていくには色々と苦労があるらしい。


「ああ、奴らは……時にエッチなイタズラを武器として使うんだ。嫌いな相手でも平気で行為に及んでな。いや、むしろ嫌いな相手にこそ積極的に行為に誘うわけだ」


「……おっしゃる意図が……分かりかねますが?」


 エリスもアカネも「はてな?」と小首を傾げているが、続く俺の言葉を聞いて……絶句した。



「つまり奴らの必殺技は――尿道パンチなんだ」



 そういうことか……と、俺だけでなくエリスとアカネの顔から血の気が引いていったのだった。


「もはや……イタズラの域ではありませんね」


 ちなみにアーカムフェアリーには『前立腺パンチ』という最終奥義もあるんだ。


 が、そこは……さすがにアホすぎるので二人には伏せておこうか。



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