始業式は波乱の幕開けの合図
「雪奈君。雪奈君?」
隣から夏奈さんに呼び掛けられる。
「どうしたの?夏奈さん」
「それはこちらのセリフですよ。さっき教室から出てきてから上の空で.......何度も呼んでいましたのに。なにか脅されたりでも?」
先生に脅されたとかそういうのじゃないんだけどさ.......
「この後の始業式で転校生挨拶しなきゃらしいんだよね。だけど聞いてなくて考えて来てないんだよ」
「あぁ、そんな事ですか」
そんな事ってなんだよ!!一言も思い付かないのにさ。
「聞いた限りではこの学校の転入試験生として来られたことになると聞きました。ではこのような名門茶水学院の試験生になれたことを光栄と思いますと共に自分の身に余る事だと思いますので力添えをして頂けるとありがたいです。これからよろしくお願いしますとでも言っておけば角も立たず他の方からの注目もむやみに集めることはないと思われますよ」
何?この子、そんな一瞬でその言葉が出てくるの??
「ごめん、もう1回言ってもらってもいい?」
俺は胸ポケットからメモ帳を取りだし夏奈さんにもう一度言ってもらった文言をそのまま書く。
「ありがと。この言葉を元に考えさせてもらうね」
正直このまま使ってもいい気はするけどさすがにそれはダメだよな.......
「それでも災難でしたね.......連絡の行きミスですか.......まぁこのクラスの担任はなぜここの担任になれたのか分からないくらい不真面目な方ですからね。優秀な方ではあるらしいのですが」
夏奈さんに不真面目って言われてるのに担任続けれるってすごいよな.......当主さんに言われたらめんどくさい気がするんだが。
「お父様に伝えた時もあの方は大丈夫だよ。何かあった時は絶対ちゃんとする方だからと言ってですね。お父様がそう言うならという事でもうそのままなのですがね」
なんだその信頼.......何か色々とありそうだがそんなことを考えてる場合じゃない。自分なりに挨拶纏めなきゃ。
そして、色んなことを考えているうちにホールへ着く。
学校案内の時、中を見てなかったんだけどどんなのなんだろうと思っていたが.......
「音楽ホールみたい.......」
ふかふかの椅子が大量に並べられたクラシック音楽とか弾くような場所だった。
「実際そうですよ。ここは吹奏楽部などが演奏に使いますし、年に1回、全国大会の決勝にも使われているらしいですからね」
そうなのか。やっぱり自称名門の聖光とは格が違うな.......
というかだからパイプ椅子使ったことないのかな。
入学式とかもここでしてるんだろうし俺たちみたいな学校はシート引いてその上にパイプ椅子並べてって感じだからな。それが普通だと思っていたけど茶水で子供の頃から居るならパイプ椅子なんて座らないよなぁ。
中へ入り、夏奈さんへ着いていく。
そして、夏奈さんが座席の数を数えていき自分の場所を見つけ座ると
「雪奈君はここでいいと思いますよ」
と、自分の隣の席を指さす。
「ここは先生の席なんですが雪奈君がここに座っても特に支障はないと思われますので、先生は恐らく隣に移るでしょうし」
夏奈さんがそう言うならいいかな。
というか先生が普通どこ座るか指示するもんじゃないの?
周りを見渡してみると先生らしき人達がほかの人たちの場所を指示している。このクラスだけ先生の指示もなく座っていた。
あ、担任が来ないから指示する人がいつも居ないのね.......
少しすると照明が半分ほど落ちる。
「これより令和X年度三学期始業式を行います」
というアナウンスが聞こえてくる。
挨拶っていつなんだろう.......それまでに纏めきらなきゃ。
―――――――――――
何とかかけました。
引越しする時ってダンボールが1番場所とるんですね.......(リアルの話)
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