第27話 メリラは落ち着かない…

「さぁメリラここがセルシ隊の本拠地です。まだ村の名前すらなく皆、辺境の村などと呼んでいる場所ですね。」


「あのコルセア様…ここじゃ獣化しちゃマズいのですよね…」


「今は遠慮願うわね、人の姿で先ずは挨拶なさい、ほら来たわよ。」


「コルセア様、村長のセト殿、教会のシスターソニア夫妻をお連れしました。」


「ありがとうガイルさん。突然の訪問ですいません村長、此度は我が眷属でメリラと言うフレイルタイガーを連れてまいりした。妊娠中で安心して子を産める場所をと思い村長夫妻にお願いしたいと来た次第です。如何でございましょう?」


「コルセア様、御自らのお越し誠痛み入ります、後神託にて聞いておりますれば、どうぞご眷属様も我が村の一員として安心して子を産んで下さいませ。」


「ご ご眷属様って…あわわわわ」


「落ち着きなさいメリラ…」


「ごめんなさいね村長この子人と居る事に慣れてないばかりか、はじめての出産で…どうぞお願いします。」


「この村のシスターとして産婆としてご協力させて頂きます。メリラ様ずっと立っているのはお体にさわります。こちらの椅子におかけ下さいませ。」


「あ あのだな…さ 様はだな いらないと 思うのだぞ、わらわとしてはな」


「分かりました、ではメリラさんとお呼びしますね。」


「そ そうだな、シスターよ 我が子共々世話になる。」


「良かったわ、シスターソニア、あなたの我々神々への日頃の祈り、しかと届いておりますよ。これからもこの村をメリラとお腹の子共々お願いするわね。」


「コルセア様、ありがとうございます。命の限りこの村の為祈り、働き、夫と共に励んで参りたいと思いまする。」


「セルシ隊の皆様も隊長さんも皆様元気でおりましたよ。この村を宜しく頼むとの事でした。皆様もメリラ共々宜しくお願いします。」


「おれは大工が得意でよ、メリラさんの家建ててやらなきゃなんねぇな、よしトラ組集合だ!今からメリラさんの家を建てるぞ。妊婦さんの家だからな段差や少しの坂や階段も気を使えよ。何よりも教会の近くに家を建てるぞいいな!」


はい!!棟梁!


「傭兵なんだか、大工なんだか分からなくなってきたなこりゃ…(笑)」


「旦那様早く帰ってこぃ…」


「ダンジョンまで進んだなら後は沼地越えだな、頑張れよ隊長、リュウ、ヒロ」


新たな村民メリラを加え辺境の村はにわかに活気付くのだった。1人メリラは自分の家を建てるぞと気合いを入れる大男や旦那に早く帰ってこぃと思いを寄せる女戦士、隊の身を案じている大剣を背負った男などに戸惑い人間とは不思議な生き物だとつくづく思うのだった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る