第5話 ダンジョンだった

「すまねぇな、さっき話を聞いちまったがお前らも兵士なんだってな。」


「俺達は戦場で一度死んだ、だが何故かこの世界の神様に救われて、この世界へやって来たんだ、まぁ信じられない話だがな。」


「隊長話してよかったんすか?地球の話して大丈夫なんすか?」


「別に話すなとは言われてないし、もてなされて嘘は言えんだろ、それに同じ戦場を生業にしていたガイル殿なら尚更だ。」


セルシはその後もガイルに地球と言う星から転移して来た事、武器は手元にはないが自分らの国が戦争中であったこと、そして其処で玉砕した事など全て話したのだった。


「…凄げぇ話だ、しかしこの辺りには人は居ないはずだ何せ近くの村まで80㎞は離れてる森の中だ、信じるしかねぇよ、この森は原始の森と言って人を拒む程の魔獣がそこら中にいるんだ、そんな所へ人がいや兵隊が居ること事態あり得ん事だ、まぁここで会ったのも何かの縁だゆっくりしていきな」


「すまないなガイル殿、我らは今飛ばされたばかりの洞窟の中に居てな、少し現状確認の為に調査中だった所なのだ。」


「成る程其処でアサルトボアと俺に会った訳だな。」


「あの猪はアサルトボアと言うのだなガイル殿。」


「そうだ、奴の突進は誰にも止められねぇだが縦に早くても横はがら空きなんだよアサルトボアはな」


「隊長いいですか?我らにも何かしらの武器が必要だと思います。このままでは獣に会っても対抗手段がありません。」


「んっ?ならここにある剣やら斧使えよ、俺のお古だがまだまだ現役だぜ」


「ほんとか!すまねぇなガイルさんよ、俺はこの戦斧ってのが、気にいってたんだ!」


「トラ先輩は遠慮ってないんすか?」


「ヒロお前はどうせ剣も振るえんのだ、大人しく俺に守られてろ!」


「静かにして下さいよトラさんもヒロも、ガイルさん有り難うございます、

有り難く使わせて頂きます。」


「良いって事よ!そいつらも新しい主が出来て喜んでるだろうよ。それよりお前ら洞窟って言ったか?まさかダンジョンの事じゃねぇだろな」


「だん だんじょん?とはすまないなんだろうか?」


「あぁ転移者なら知らねぇか、ダンジョンってのは魔獣が住み人を誘き寄せ宝箱何かもあるんだが、深い階層になればなる程魔獣も強く常人では太打ち出来ない程の場所だ。洞窟だけじゃねぇって話だ、塔がダンジョンになったり、古い城や遺跡何かもダンジョンになる事が有るそうだ。」


「俺達のいる場所でこんなナイフが宝箱に入ってたんだがもしかしてそのダンジョンってやつか?」


「見せてくれ…こりゃミスリルナイフか…」


「洞窟の入口にあってよデカいコウモリが守ってたが、ぶん殴ったら死んじまったよ」


「そのデカいコウモリはどうされた?」


「洞窟の中に置いてきたぜ!ありゃデカくて持ち歩けないからな」


「すまんが連れてってくれ、そのダンジョンに」


「えっ?ガイル殿如何された?ダンジョンに何かしら思いでもあるのか?」


「実はな俺には相棒の大剣があったんだ、しかしな戦場で折れたんだ、大切にしてきた相棒がまさか…その後はひどいもんだった、近くにあった剣を拾って撤退に次ぐ撤退。仲間は何人も途中死んで行った、気がつけば俺は一人ただ走っていた味方も敵ももう関係なかった俺はただ走ったよ…そしてある村にたどり着いて半年程世話になった…何本か剣やら斧やらを作って貰い村人が言っていた原始の森って所ならもう誰にも会わずに一人暮らせるだろうと、俺は全てから逃げたんだ…」


「それと大剣とダンジョンとどう繋がるのだ?」


「ダンジョンって奴はな主に宝箱の中の種類でタイプがあるんだ。鎧やら籠手、盾何かが出るダンジョンや薬剤ポーション何かが出るダンジョン、そして今回の様な武器が出るダンジョン等がな。」


「成る程今回は武器ダンジョンだからもしかしたら大剣が有るんじゃないかと踏んだ訳ですね?」


「そうだ、俺は失った時間を逃げて生きて来た、今までを取り戻す為にも大剣が必要なんだ。頼む連れてってくれ」


「分かりました。私たちにも同行させて下さいダンジョンへは。剣なども多少は扱えます。トラは格闘や体術のプロフェッショナルですし、リュウは剣道の有段者いや剣の達人です。私も達人ではないですが多少腕には覚えもございます。」


「隊長ひどいっすよ!俺忘れてるっす。」


「お前は足があるだろ、その目も手先の器用さもお前は体全てが武器だろうが。」


「さすがトラ先輩わかってらっしゃる、エヘヘヘ」


「…仕方ねぇやつだなホント」


「皆さん有り難うございます、是非宜しくお願いします。」


「では明日ダンジョンへ参りましょう。」


「今夜はこの家に泊まって鋭気をやしなってくんな。洞窟よりはまともに寝れるだろうぜ。」


「すまぬ、感謝いたすガイル殿」


「そろそろ止めようぜ、そのガイル殿ってやつガイルでいいよ、セルシ隊長!」


「分かった、ガイル宜しくたのんだ。」


俺たちは明日ダンジョンと呼ばれる洞窟へと向かう事になった。しかし異世界に来てまで剣道やるとは思わなかったな、と思うリュウであった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る