13話-6 沼を進む 罪の重さ

「あー、ちゃんと手入れしているね。俺たちから言うことは何もないよ」

 そういって革製品を取り扱うオジサンは私の靴を見て褒めてくれた。

 市外から少し離れた住宅街に、その店はあった。

「ありがとうございます」

 小さい店だが県内などからミリタリーグッズの皮製品が集まってくる。

 背後に配達屋さんが来たので急いで帰る。


 来た道を戻ると以前書いた『塔に上る 基礎は大事』に出てきたラーメン屋さんがあった。

 だが、その隣に派手めな電飾でインド料理屋さんもあった。

 ふと、ラーメン屋の駐車場は満杯だった。(三台しか置けないけど)

 私の足はインド料理屋へ向かった。


 二重のドアと手を消毒して中に入る。

「ナマステー」

「こんにちわー」

 店員さんが一気に歓迎してくれる。

 少し驚く。

 時は十二時三十分前。

 ここもインドの流行歌をバンバン流している。


 ここで少し脱線する。

――もしも、世界中の言語で一つ習えるとしたら何語がいい?

 こんな問いにあなたは何を選ぶだろうか?

 私は『ヒンディー語』を習得したい。

 理由・北斗の拳に出てきたヒンディー語を訳してみたい。

(なお、場面は原作199話「優しき腕の中で!の巻」アニメ版だと147話「愛の戦士シャチ死す! 友よ、愛こそすべてと知れ!!』に出てきます)

 山のように北斗の拳の考察サイトとかあるけど、このヒンディー語を訳するサイトはないんだよなぁ。


 本題に戻ろう。

 私は窓辺の席に座り街を歩く人々を見ていた。

「メニューです」

 ここはセットメニューがメインらしいがお腹のあまり好いていないのでいつもの呪文。

「海老カレーとナンを下さい」

「わかりました」

 厨房に戻った店員さんが何か叫び、全員がまた応えるように叫ぶ。


 この店、変わっている。

――どこが変わっているんだい。狭いけどいい店じゃないか?

『群馬県は典型的な車社会で駐車場は必須なのに、ここないんだよ』

――そういえば、そうだな

 と、突然、誰かが大声で何か言っている。

 ヒンディー語だから内容が分からない。

 この店、実に賑やかだ。

 狭い店内に様々なヒンディー語が飛び交う。

『インドってこんな感じなのかな?』

――確かに沼に住む賢者も最初戸惑っていたみたいだしなぁ

『その賢者って何者よ』

――旅の終わりに見せてやるよ


「お待ちどう様でした。サラダです」

 サラダは山だった。

 しかも、厄介なことにみんな千切り。

 フォークに刺さらない。

 ふと、カラトリーを見ると日本のお箸があった。

 お箸で強引に食べる。

――インド料理を箸で食べる背徳感

『うるせー』

 サラダを攻略するとカレーとナンが出てきた。

 ここの店は日本の舌に合わせたのかなんか親しみのある味だった。

 量も日本人に合わせたのは少し少ない。

 でも、美味しい。

 ナンで底のカレーをすくい取って食べる。

 ペース配分も悪くなかった。

 銀色のコップに注がれた冷水を一気に飲んで満足した。


 お会計をするとき店員さんはいい笑顔で聞いてきた。

「美味しかったですか?」

「とても美味しかったです。ご馳走様でした」

「ありがとうございます」


 外は灼熱の地獄だった。

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