第23話 妖怪

「「「・・・す、す、すいませんでしたっ!!!」」」

突然、山賊達が一斉に土下座をして謝り出す


「今までの度重なる無礼をお許し下さいーー!!」


・・・コイツら、どうしたんダ?

この突然の心変わりは!?


「貴女様の噂は、この山奥にまで轟いております!!」


さっきまでの態度とは、打って変わって・・・

何ネ!その言葉遣いは!?


「ハ~ハッハハハーーー!!ま~そうであろう!そうであろう!!こんな辺境な山奥でも妾の噂の1つや2つ!知られていて当然じゃな!!」

マホが地面に着く程の長いマントをなびかせながら生意気に喋り始める


「お前の噂な訳ないネ!お前は、天才子役か?山賊ヤマザル達は、カンナの事を言ってるアルヨ!!」

「娘っ子!女の嫉妬は、見苦しいぞ!!此奴こやつらは、妾に対して言うておるのじゃ!!」

マホが威張りながら簡辛へ反論する


「いや、ロリっ子には、興味ない!俺らは、あんたの後ろにいる。カンナ様へ話をしている!!」

「・・・カンナ命令じゃ!今日の記憶が無くなるまで此奴こやつら全員をボコボコにせぃ!!」

恥をかかされたマホが顔を真っ赤にさせてカンナへ無茶な命令を下す


「まーまーマホ様!ここは、寛大な処置を・・・!!」

カンナが一生懸命、雇い主のマホを宥め落ち着かせる


「カンナ様!一生のお願いです!!こんなクズで愚かな俺達ですが・・・どうか貴女の弟子にして下さい!!」

「―――ごめんなさい!!」

山賊達が土下座して頼み込むが即断即決で断られる


「・・・な、何故ですか!?確かに俺達は、Rー指定されるような卑劣極まりない行為を山程してきました!―――ですが!人を殺めたことだけは、一度もありません!!どうかもう一度、考え直して下さい!!」


・・・山賊コイツら!

どんな神経でそんなセリフを吐けるネ!!


充分に断られてもおかしくないレベルの事をしてるアル!


・・・もう、ハッキリ言ってやれヨ!

ゴミクズに教えることは、自首以外、何もないって・・・!!


「私は、!人に武を教えるなどおこがましいです!!」


・・・ま、待って!

今、門下生って言ったアルか!?


カンナの強さで見習いなんて・・・


―――何の冗談ネ!!


「・・・カ、カカ、カンナ様~!それは、あんまりですよ~!!弟子入りさせたくないからって・・・グスッ・・・そんな嘘を・・・グスッグスッ・・・正直に嫌って言ってくれれば良いのにぃぃぃーーー!!!」

ショックを受けた山賊達が泣きじゃくる


・・・山賊ヤマザル共!

まさか本気でOK貰えると思ってたんカ!?


「者共、そんながっかりすることは、ない!朗報じゃ!!丁度、妾の身の周りの世話をする召し使いを探しておったのじゃ!早い者勝ちじゃ!!―――妾に仕えたい者は、手を挙げぃぃーー!!」



・・・・・・



「カンナ様、弟子入りの件は、きっぱり諦めます!これは、迷惑をかけたお詫びです!受け取って下さ・・・―――オイ!何だロリっ子、止めろ!!スネを蹴るんじゃない!!」

盛大に無視した山賊をマホが無言で蹴りつける


・・・ま、気持ちは、ワカル!

全員にシカトされたんだから・・・


「プップププ・・・!!」


―――笑っちゃダメネ!!


「・・・?・・・何ですか、これは!?」

竹の筒を受け取ったカンナが首を傾げる


「・・・開けてみて下さい!」

「・・・パカッ!―――バターーン!!」

竹の筒を開けた途端、カンナが卒倒する


「「「―――っ!!?」」」


「この山賊ヤマザル!卑怯な罠を・・・!!」


油断させといて睡眠薬か何かを仕込みやがって・・・


「・・・ご、ごご、誤解です!誤解っ!!―――その中身は、ただのお酒です!!」

「・・・お酒?・・・そんな子供騙しみたいなウソを信じるとでも・・・」


「・・・グ~・・・グ~・・・グ~・・・」

カンナが気を失い、倒れたのかと思ったが、いびきをかいて眠っているだけだった


「・・・この眠りの入り方、間違いないのぅ~!この液体は、アルコールじゃ!!」


・・・な、何ネ!

寝ただけか!?人騒がせな!!


「カンナ様は、徹夜明けなのでしょう?疲れが溜まっていたのでしょうね~!!」

山賊達がカンナの体調を気に掛け心配する


・・・・・・ん?

こんな少量のお酒で酔ったのか・・・


―――匂いだけで眠くなるものアルか!?


「カンナ様が同行するので大丈夫だと思いますが・・・念の為に伝えておきます!」

「「・・・・・・?」」

簡辛とマホがカンナの看病しながら山賊の言葉に耳を傾ける


「この山には、出るんです!恐ろしい物の怪がっ!!」


・・・モ、モノノケ?


「何じゃ、お主ら!良い年して物の怪なんぞ!!恐れておるのか?」

ここぞとばかりにマホが山賊達をバカにする


「注意してほしい物の怪の名は、頭ワル僧!そしてエクソシスター!!そのどちらかに出会ったら一目散に逃げて下さい!!」


・・・アタマワルゾウ?

何ネ!そのネーミングセンスは!?


それにエクソシスター・・・?

エクソシスト、シスター、システストみたいな三段活用アルか!?


大の大人が真剣な顔して、何を言ってるネ!!


「・・・―――っ!!・・・な、何か来る!凄まじいスピードで・・・!!」

何かを感じ取ったカンナが目を覚まし、皆に警戒を促す


・・・えっ!

なになになに・・・!!


・・・ま、まさか!

今、話してた物の怪が来るアルか!?


「「「・・・・・・っ!!!」」」

カンナの一言に緊張が走り、全員が即座に対応できる様に戦闘体勢へ入る


「―――簡辛様ぁぁぁーーー!!あの御方は、悪魔でしたぁぁーー!!」

「・・・シ、シスター!?」

みんなが反応できない猛スピードで山賊達の隙間をすり抜けて、走って来た聖女様が簡辛へと抱き着く


「・・・ど、どうした?何かあったアルか!?」


・・・拍子抜けしたヨ!


―――けど、シスターで安心したネ!!


「「「―――ぎゃぁぁぁーーー!!!・・・で、出たぁぁぁーーー!!エクソシスターだぁぁぁーーー!!!」」」


「・・・・・・?」

聖女様の姿を見た山賊達が大声を上げ、取り乱す


「こんなタイミングで出会すとは!?あの女は、もう諦めて早く逃げろーー!!」

脅えきった山賊達が蜘蛛の子を散らすように散々に去って行く


「・・・・・・」


もしかして・・・

・・・シスターって!


―――皆から物の怪だと思われてる!?

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