第2話 極秘警備

…遂にやってきた。

なんと俺に特別任務だ。

先日母親から。


母「来週土曜から1泊でお友達と温泉に行く事になったの。」

俺「でっ?」

母「2人で留守番頼むわね。」

俺「ウィーッス!」

母「大丈夫?」

俺「余裕〜!」

母「では、あなたには特別任務を与えます。」

俺「と、と、特別任務!?」

母「あなたには妹の警備を任命します!」

俺「た、隊長殿!詳しい内容を知りたいっス!」


…母「我が息子ながらバカみたいにその気になってる。ふふふっ、完璧ね。」


母「あの子は多分ハメを外して、友達なんか呼んで酒を飲んだり騒いだり、夜酔っ払って外に出ないようにだけ見張ってほしいの。極秘で!」

俺「はい!長官殿〜!!!」


…母「長官?隊長はどこへいったの!?やはりおだてに乗りやすいバカね。我が子ながら。」


母「頼んだぞ兄一等兵!!」

俺「讃えよー!……………。」

母「わからないなら最初から言うな!」


…うーん。

極秘となれば衣装もノーマルかー。

武器はどうする?

目立つものはNGだな。

ポケットサイズかー。

うーん。

ビンの蓋?

いやいやそれは弱すぎる。

鍋の蓋は!

いやいやポケットに入らない。っというよりあれはそもそも防具。

うーん。

難しい。

よしこれでヒントを。


ゲームをだしてあの有名なロールプレイングゲームをセット。


…おー!

思った通り武器がいっぱい。

銅の剣。

かっこいい。

だがどこに売ってるんだ?

ブーメラン!

いやっ、家の中だしな。

いばらのムチ!

い、いや、女王様じゃないし。

や、や、やくそう!

は、回復だし。

うーん。

あっ、バイトの時間!


俺「店長!」

店長「な、なんだ。」

俺「店長の武器ってなんすかっ?」

店長「武器〜?」

俺「はい。隠し武器的なやつ。」

店長「ふっ。下ネタか?」

俺「いやっ、マジネタで。」

店長「男の隠し武器はあれだろ。」

俺「あれ?」

店長「大事なところ!」

俺「心臓っすか?脳っすか?」

店長「ここだ!ここ!」

俺「下ネタっすか?」

店長「男の1番の武器!」

俺「マジか〜。知らなかったっす。」


…店長「ヤバい。間に受けてる。まっ、いいか。こいつは超DQNだし。」


俺「店長!あざっす!」

店長「おっ、おー。」


…店長に聞いたはいいがこれをどう使うのだ。

トイレで戦うのか?

うーん。

他にも考えないとな。

うーん。

難問だな。こりゃ。


母「あら、おかえり。」

俺「母さん、いや長官殿!武器は何がよろしいでしょーかっ!?」

母「武器〜?いらないでしょ?」

俺「それでは敵から…」

妹「ただいまー。」

母「おかえりー。」

妹「うわっ、キモ兄貴、何してるの?」

俺「極秘…」

母「う、う〜ん!」

俺「いや、なんでもないでござる。拙者はこれにて!」

妹「キモ!」

妹「ねぇ、アイツ超変だよ。」

母「ええ。超知ってるわ。」


…なんと武器はいらないと。

うーん。

それじゃ発想を変えて。

防具の強化といくか。

柔道着!

バルバレだな。防具としても弱い。

そうだ!腰痛ベルトは?

腰は守られるな。だが他は?

ば、絆創膏。

指だけだな。それにこれはどちらかというと戦いの後の方が良さそうだな。

あっ!サングラス!!

直射日光からは守られる。いやいや任務は夜だぞ。それに室内。室内でサングラスはタモリさんだから似合ってるし。

うーん。

うーん。

は、は、歯ブラシ!

虫歯からは守られる。だが、俺には虫歯がない。毎日の歯磨きで足りてるだろう。

守るもの?

うーん。

明日神社にでも行くか。


DQNはいくら考えても悪化する。

そして任務当日。


母「じゃあ、行ってくるわね。」

俺「はっ!長官殿〜!!」

妹「なんだそれっ!」

俺「いやいや。」

妹「今日の夜、私の友達泊まりに来るから。」

俺「うんうん。結構結構。」

妹「恥さらすなよ!」

俺「ふふふ。」

妹「キモいんだよ!」

俺「はははー。」

妹「マジキモ!」


…いよいよだな。

妹にはバレてない。

極秘任務だからな。

さっ、夜までシュミレーションだな。


ピンポーン


妹「はーい」

俺「はーい」

妹「来なくていいんだよっ!」

俺「いやいやご挨拶に!」

妹「マジやめてー!」


妹友「おじゃましまーす。」


俺「はいはいどーぞ!」

妹「引っ込んでろバカ兄貴!」

妹友「こんばんは。仲良いですね。」

妹「は〜!コイツと一緒にしないで!」

俺「まあまあ。」

妹友「ふふふっ。楽しそう。」

妹「もう部屋行けよ。」

俺「はいはい。ごゆっくり〜。」


…よし。

さりげなく出迎えクリア。

紳士的な兄も演じつつ。

次はさりげなく晩飯だな。


妹友「いただきまーす。」

妹「なんでお前がいるのよっ!」

俺「沢山食べてね。」

妹友「わー、美味しい。お兄さん料理上手なんですねー。」

妹「特技は料理のみ!」

妹友「いいじゃない。羨ましいな、料理できるお兄さん。」

妹「あげるよっ!」

妹友「またー、居なくなったら寂しいんじゃないのー?」

妹「ふっ!んなわけ!」


…よしよし。

完璧な進行だな。

この後は多分妹の部屋に移動してフリータイム的な感じだから、待機だな。


妹「じゃあ私の部屋で飲み明かそう!」

妹友「お兄さんも一緒にどうですか?」

妹「やめてー!アイツは部屋に入れないで!バイ菌がー!」

妹友「お兄さんに失礼よ!」

俺「いや、僕の事は構わず2人で楽しんで下さいよ!」

妹友「そうですか?それじゃあ。」

妹「いこっ!」

妹友「うん。」

俺「今日俺は下に居るから、2人は上でごゆっくりー。」

妹「珍しく気がきくな。」

俺「そっかー?」

妹「なんか怪しい。」

俺「そんな事ないぞー。」

妹「…ジー  」

妹友「なにしてるの?」

妹「だって、コイツなんか怪しい。」

妹友「妹想いのいいお兄さんじゃない。」

妹「…ジー  」

俺「なんもないから、ほらっ、上行って楽しんで!」

妹友「お兄さんありがとうございます。」

妹「…ジー  」

妹友「ほれっ、行くよ!」

妹「う、うん…」


妹友「いいお兄さんじゃない。」

妹「いや。アイツは超DQNだし!」

妹友「紳士って感じ。」

妹「騙されるな!」


…聞こえてるんだけど、まっ、いいか。

そんな事より任務は完璧だ。

いや、問題はこれからだな。

今が22時。

アイツが起きてられる限界は多分…

2時ってとこか。

いつも2時くらいには静かになるしな。

よし4時間。

まずは玄関チェック。

よしっ!

トイレチェック。

よし!

風呂場チェック。

よし!

異常なし!


コクンッ。


…はっ!

危なかった。

寝落ち寸前。

いやっ!1時半!!

3時間半も寝てしまうとはー!!

ん?

上は妙に静かだな。


…そーっと。

少し覗くだけ。

ちょっぴり。


カチャ

キー


…うんうん。寝てるみたいだな。暗くて見えないなー。まっ、寝てるならいいか。

じゃあ俺も自分の部屋で寝るか。


カチャ


…あれ?

照明つかないな?

リモコンは、ベッドだな。

えーっとー、

わかんない。寝るか。


バサ


「うぎゃー」

俺「な、なんだー!!」

妹友「えっ!なに!どーしたの?」

妹「この変態兄貴!」

俺「お前こそ俺の部屋で何してる!」

妹「へっ??」

妹友「トイレの帰り間違ったんじゃない。」

俺「おいおい。」

妹「ヤバッ、そーかも」

妹友「お兄さんごめんなさい。ほらあなたもお兄さんに謝って。」

妹「枕臭っ!」

妹友「もー!ちゃんと謝って!」

妹「悪かった。」

俺「気にしてないから寝なよ。」

妹「変な事してないでしょうね。」

俺「まさか。妹にするわけないじゃない。」

妹「今日しゃべり方キモい。」

妹友「行くよ。お兄さんおやすみなさい。」

俺「あっ、おやすみー。」


…母さんが心配してた事ってこういう事か。脱走先が俺の部屋でよかったのか?

まあ、結果オーライだな。

よし!

今日の極秘任務完了!!



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