一月末はくりすます

「くりすます~。一月末だぞ」

「クリスマスですね」

「正月終わったな……」

「ええ、お正月は終わりましたね」

「うどんがそろそろなくなるから、買い足しとかないとな」

「そうですね」

「スマホを開けて、ブックマークを開いてと……」

 くりすますは俺の動作をじっと見ていた。

「お前もやりたいのか?」

「いえ、そういうわけでは」

「何かを注文するのってゲームみたいで楽しいよな。くりすますってゲームとかするのか?」

「ゲームですか? そうですね、一応僕は誕生したばかりということになっているので、ない、と答えるのがいいとは思いますが」

「はあなるほど、しないってことか?」

「するときもありますよ」

「どんなゲームなんだ?」

「そうですね、機械たちが集まって街を作るゲームとか」

「面白そうだな」

「まあ僕は厳密に言うと概念なので、機械というわけではないんですけど」

「なんでお前の話になるんだよ……」

「機械だから機械が主人公のゲームが好きなのかなーとか思われるかなって」

「えっどうだろ、そう言われてみるとそう思うような気もするし思わないような気もする、いや自分でもどっちなんだろとは思うけど」

「クリスマスですよ」

「なるほどクリスマス」

 室内はクリスマスの装飾状態で、松ぼっくりやら落ち着いた壁掛けリースやらが並んでいる。

「まあこれなら確かにクリスマスと言えるかもしれん」

「そろそろクリスマス飽きたなとか思わないんですか?」

「お前がそれ言ってどうするんだよ」

「……」

 引きこもりには行事など関係がない。いつがクリスマスだろうがいつがお正月だろうが関係ない、毎日が日曜日であり、毎日が地獄である。それなら毎日がクリスマスだろうが関係ない……

「――くん」

「なんだよ……」

「クリスマスは好きですか?」

「クリスマスは、そうだな、好きだな」

 こんな俺にも温かな子供時代の思い出というものが多少はあるもので、まあそれと関係あるのかどうかは知らないが、絵本の中のクリスマスに憧れた思い出なんかも結構あるもので、よって俺はクリスマスが好き、というか、建前上うんざりなんてポーズを取っていたこともあったが今はそう、やはり、好き、だと思っている。

「それはよかったです」

「ああ」

 それにこいつのクリスマスはびかびかしていないし、冷たくもない。こういうものが本当のクリスマスだというなら毎日がクリスマスでも、

「メリークリスマス」

「改めて言われると違和感はあるがな!」

「ハイですよハイ」

「はいはい」

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