超有名アシスタントAI

 私のスマホはBluetoothで車のオーディオに繋がっていて、スマホで音楽を再生すると、車のスピーカーから音楽が流れる。

 これ自体は今となっては大した事のない話しだ。


 車のナビにも音声認識ソフトが入っていて、その子に話しかけると目的地などを設定してくれる。

 簡単そうに言っているが、この子はかなり古風な子でクセが強い。訊ね方や、お願いの仕方を間違えると、とんでもない所に連れて行かれる事になる。


 この子の声のボリュームは、音楽を再生している時のボリュームとは別に設定されていて、音楽を小さな音で再生していても、ナビするタイミングになると、大声でしっかりと伝えてくれる。

 古風なだけにしっかり者の子だ。


 さて、この クルマのナビ子と超有名アシスタントAIがBluetoothを通して一緒に遊んでいる時に、超有名アシスタントAIに話しかけるとナビ子の声のボリュームで返答が返ってくる。

 

 ボリュームだけ。声音はSiri(だって長いだもん)のまま。


 ある日、運転中に買わなければいけない物を思い出した私は、Siriに声をかけてメモを立ち上げて貰った。

 

 私はカクヨムにあげようと、思い付いたネタなどをメモ機能に記録している。


 Siriは、「メモを立ち上げて」 を 「メモを読み上げて」と聞き間違えたらしい。


「ワタシが今お見せできるのは、コレだけです」と言ってから、ナビ子の声のボリュームで、書き留めていた詩のような、も行かないモノを朗読し始めた。


なんたる仕打ち。なんたる辱め。

車の中で、

「やめてぇ〜!」

と叫んだ。


相手が頭の良いAIだけに、ワザとなのでは? と疑ってしまう。


以来、私はスマホとクルマのオーディオを繋ぐのをやめた。


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