ダイブ 2 ※知人にメールで送ろうとして、長くてやめた話し

 稀名くんとボクは、特に約束して電車に乗り合わせていた訳ではないので、会う会わないは時の運です。

 朝起きるのが苦手だったボクは午後に授業を集中させて取っていたので、午前中から勉学に勤しむ真面目な稀名くんとは、そんなにしょっちゅう会っていた訳ではありません。 

 ですが、3〜4日連続して電車に乗り合わせた事がありました。


 その連続して会った初日、稀名くんからは惚気のろけ話しを聞いた記憶があります。

 彼女の誕生日?(なにかしらの記念日)が近いから、プレゼントを買うけれど、何を買って良いか迷ってしまう。けれど、こうやって迷うのもオツなものだ。

 下手な句の訳みたいな事を言っていた気がします。


 その他にもデートでどこそこに行った。とか、こう言う仕草が可愛いとか……

 対抗意識があって言う訳ではありませんが、その頃のボクには彼女がいましたので、稀名くんの話しも落ち着いて聞いていられましたが、その頃のボクに彼女がいなければ電車から放り出していたかも知れないです。


 2日目か3日目あたりで、稀名くんはプレゼントを買っていたと思います。

 それは大学生にしては身分不相応の、物凄く高い宝飾品でした。

 稀名くんの気持ちばかりが空回りしていそうで、一抹の不安を覚えました。


「明日手渡すんだ」と言うので、普段は会う約束をして電車に乗っている訳では無いのに、この時ばかりは結果が聞きたくて、明日以降の稀名くんの電車に乗る時間を確認したような気がします。


 ボクは意図して稀名くんが電車に乗る時間に合わせて通学するようにしました。


 プレゼントを渡した結果は、それから2〜3日後の稀名くんの顔を見てすぐに分かりました。ニコニコ ニコニコしているので上手く行ったようです。


 ところが……

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