第13話 命を繋ぐカニ玉

7月に入ってからの猛暑で台所に立つのも面倒くさくなり、ご飯を炊くだけでおかずはスーパーのお惣菜や冷食中心になり、生のトマトときゅうりを齧って栄養を取ったかなって気になっていた。


次第にご飯も一膳分を3回に分けて食べるほど食が細くなり、まあそれなりに年をとってきたからこんなもんよね。


と思っていたら通院日の月に一度の体重測定で1.3キロ減っていた。


この頃血圧も低くて頭がふらふらするのは食べなさ過ぎだ。


と気付いて意識して日に三食食べるようになったら頭もクリアになってきた。


食に興味がなくなるってリアルに肉体のエネルギーが無くなるのでほんとに怖いのう。


次の日からフライパン一つで出来る料理のリハビリを始めることにし、タンパク質はまずは完全栄養食である卵。こいつ1パック(10個)が税込300円越えする時代が来るとは思わなんだ。


と渋々買い、カニかまとブロッコリーでおかず2食ぶんにはなる。


帰ったらエアコンで涼み、水分補給して外出の疲れが取れたらいざ台所へ。


まずは洗ったブロッコリーを小房に分けてレンチンし、半煮えにする。


新調したフライパンに油をひいて卵二個を割り入れ、細かく裂いたカニかまを入れて一混ぜし、充分火を通す。


そこに半煮えブロッコリーを4、5房入れて塩胡椒で味付けして完成。


味が足りないな、と思ったら中華だしを小さじ半分足しても可。


2、3日に一度はこれをおかずにしたおかげか味覚も戻り、少しずつゴーヤーチャンプルー、オムライスなど作れるようになってきた。


この頃は六年前から不遜にも大河時代劇という名の憑き物。嵯峨野の月の終わりが見えてきたので書き終えたらどうするよ?


もう公募とか×(ペケツィッター)で自分をアピールして精神的に病みたくないし、私は過去に二度それをやって二度とも精神状態が酷くなっていてやめて調子を取り戻して来た。


これ以上自分を損ねるくらいなら望まない方がましだとも思っている。


それにテレビもネットニュースも絶っているのでこないだ料金相談しにスマホショップ行ったら久しぶりに今時の芸人さんの漫才を見て、あまりのスピード感に何を言っているのか解らなかった。


ああ、もう自分は今の時代からずれた人間になっちゃってるんだなあ。


とも思ったし、それでもいいや。無理して付いて行く必要もないし。


白状しますと、高校時代の同級生のせいでいわゆるオタクものは好まなかったし、今時のラノベも読んでいません。



あ、時代劇に走ったのは今の時代から目を背けた逃げ道だったのね、とやっと涼しくなった風と高くなった青空を見上げる八月十五日の今日の日記。












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