一話 月から見ていた

月の者は皆、地球は辛いところだという。

本当にそうなのだろうか。

月から花乃を見ていた。そして、不器用で危なっかしくて、一生懸命な花乃に恋をした。地球について熱く語りすぎたあまりに

「姫様。そんなに言うなら一度地球に行って懲りてきなさい!」

そう言われて地球に降ろされた。


「花乃、おはよう!」朝の少し静かな教室に花乃がやってきた。

「おはよう。ねえ、数学の課題全然分かんないんだけど教えてくれる?」

「もちろんいいよ。」


くせっ毛に低めのツインテールがよく似合う。すごく可愛い。私が「ツインテール絶対似合う」って言ってから毎日この髪型だ。本当は誰にも見せたくない。


「ここは両辺にsinθをかけて……

 私sinθsinθとかシンシンって読んじゃうんだよね。」

「それ分かる!姫がそうなら私があほなわけじゃない!やったー!」

「それそんなに関係ある?」

「あっ消しゴム無くした。」

そういう所が可愛い。

「やっぱ花乃は花乃だね。」

「なにそれー!」

ほっぺ膨らませてるのめちゃくちゃ可愛い。抱きしめたい。

「て言うか『シンシン』ってパンダじゃん」

「姫…笑わせないで……。テストの時とかニヤニヤしちゃうじゃん!!」


こんな毎日がずっと続けばいいのに。

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