第8話ピンクのグロス②

 重苦しい空気感が場に漂う。

 言うつもりじゃなかったのに、後悔が渦を巻く。


「茜ちゃんは、女の子と恋愛しない人だと思ってた……」

「鈴川さんが初めてだよ、女の子に恋愛感情持ったのも、告白したのも」


 もう、どうにでもなれ。完全に破れかぶれだ。こうなったら全部白状するしかない。


「だから、あたしも茜ちゃんのこと好きになったらいけないと思ってたのに……」


 今度は私が驚く番だったみたい。


「それ、ほんと?」

「うん……今さら遅いかもしれないけど……彼女と別れたばっかりのあたしじゃ嫌かもしれないけど……」


 そうやって、どんどん下を向く鈴川さん。


「遅くなんかない、遅くなんかないよ!」


 白い鈴川さんの手を握って言う。


「鈴川さん、私の恋人になってくれる?」

「うん、こんなあたしでよかったら」


 そのあと二人で泣きじゃくって目が真っ赤になってしまった。


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