小野さんの見解
とりあえず、電車が来るまであと九分。小野さんの手にも手袋があることを確認し、理子はアニエスb.の通勤バックからカードを取り出し、「恐れいりますが読んで下さい」と手渡す。
そして、文面を見て、只でさえつながりそうな眉毛を寄せて唸り始めた。
なにしろ、高木彬光さんの大ファンで、ミステリーは好きな人だから、何か閃く《ひらめ》ことはないかと理子は期待をよせる。
だが、荒川区の消印を見て、答えたことは理子が小野さんを疑ったのと同じ理由だった。
つまり自作自演じゃないかと。しかし、消印の一昨日の昼間に、理子と地元のスーパーであってたことや子供じみたこの字は理子の右手では下手すぎて、左手では上手すぎて本人にはおそらく書けないし、頼める子供の知り合いがいないことは小野もわかっているので、違うかという結論になる。
小野が犯人説も後に確かめて駅前に区内に回収するポストがないことから方向音痴の小野には無理だし、この封筒の消印が綺麗なことから機械でなく、差出人は荒川区内の郵便局の窓口でこのカードを依頼したんじゃないかと推理する。
とりあえず、やってきた電車に二人して乗りこんで理子が怪しいと思ういつものメンツについて考察する。
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