4人目 塩原苺
「また明日ね」
これが、最後の会話になっちゃった。
二年前に、私は高校の男子の友達に突然電話を掛けた。
「友達が病気で亡くなった。俺のせいだ」って泣いてた。
その亡くなった子のことは、女友達から聞いてたからよく覚えていた。
私の祖母も癌を患ってたから、何となく他人事には思えなかった。
電話がかけた時は正直内心ビクビクだった。私の記憶が正しければ君と初めて電話したと思う。
電話先の君は、本当に苦しそうだった。呼吸も荒かったし、何回もゴトンって携帯を落とす音が聞こえてきた。
ずっと頑張ってたんだもんね。
彼女を不安にさせないように、弱音は一切見せないで周りにもバレないようにして。
彼女を独りで戦わせない為に、自分は独りで闘ってたんだもんね。
そんな君を見て、ついつい私も昔のことを話しちゃったんだよね。
小学校の頃、友達が水の事故で亡くなってるって。何も出来ないで、突然いなくなっちゃった。また明日会って、何を話そうって考えてた。永遠に続くって思ってた。
帰りの会で、死んじゃった事を聞いていっぱい泣いた。
今でも、お風呂に入ってる時とかにその友達を思い出しちゃう。
もっと遊んだら良かったな。
もっと優しくしたら良かったなって。
何十年経った今でも毎年お墓参りに行ってる。
私達に出来ることは、亡くなった人の事を思い出して、その人達の分まで生きることだって私は思うんだ。
私達は、その分幸せにならなくちゃいけないんじゃないかな?
……そう思わないと、立ち直れないじゃない。
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