第五話 透明人間

 透明人間? の話である。


 僕が夜道を歩いていると裸で、しかも赤いペンキを体に塗りたくった人と出くわした。事故か何かだと思い


「ど、どうしたのですか?」と問うと


「いや、実は私は透明人間なんですけど透明でいると時々車にねられそうになるんですよ。なので目立つようにこうしているんです」

 

 その人が済まなそうに答えた。


 ――だったら服を着ればいいのになあ。


 っつうか、この人透明じゃないし、僕は心の中が不思議でいっぱいになりながらそう思った。




               END

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