心に響く優しい音色

闇野ゆかい

第1話

「萌ー、華奈ー。ご飯食べにいらっしゃーい」

お母さんの優しく、透き通る声が聞こえてくる。

私は、部屋を出て、階段を下りリビングのキッチンでお弁当を作ってくれているお母さんに挨拶をする。

「お母さん、おはよう」

「おはよう、萌。早く食べちゃいなさい」

「うん。お父さんもおはよう。今日は早く帰ってこれるの」

「おはよう、萌。今日は早く帰ってこれるよ。何かあるのか、萌」

新聞を読んでいたお父さんが顔をあげて、挨拶を返してくれる。

「今日発売するアルバムがほしいの、お父さん。店に連れてって、お願い」

「わかったよ、萌。なるべく早く帰るようにするよ」

お父さんは優しく微笑み、言葉を返してくれる。

「もう、奏太くんは甘やかしすぎよ。萌もほどほどにしなさいよ」

お母さんが少し呆れながらも、微笑んでいた。

「春香も甘やかしてるだろう。夜はロールキャベツを食べたいけど、お願いできるかな」

「いいよ、奏太くん」

「ママ、パパ、萌。おはよう」

華奈がやってきた。

家族揃って、朝食を食べる。

私と華奈は、双子。お母さんとお父さんは仲良し。お母さんは瀬尾春香でお父さんは瀬尾奏太。お母さんはレストランで働いてくれています。お父さんは編集者です。

お父さんは大学生のときに小説投稿サイトで書いていたある作品が書籍化して、何冊か本を出しています。お母さんが私達を産んだのは26歳のときと聞いています。


私と華奈は、お母さんとお父さんが大好きです。喧嘩をしたことはないぐらい仲がいいです。お母さんとお父さんは優しく包み込んでくれる。


鞄を持ってリビングから出ようとした私と華奈に、お父さんが私達を抱き締め声をかけてくれた。

「素敵な友達をつくるんだよ。萌、華奈」

いつもの優しい笑顔でお父さんが言った。

「うん、お父さんとお母さん。行ってくるね」

「うん、パパとママ。行ってきまーす」

私と華奈は、元気に返事をして、家を出ていく。

扉がしまる前にお母さんの声が聞こえた。

「行ってらっしゃい。萌、華奈」

私と華奈は、お母さんとお父さんの優しさに包まれ、高校の入学式に向かう。

外は、桜の花びらが舞っていた。暖かい陽気が私と華奈を迎えた。



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