講義録「ギャグ問のすゝめ」

Mondyon Nohant 紋屋ノアン

記号論その1.ダイズな話

 オヤジギャグは記号論的に次の3つに分類される。

能記のうき(signifiantシニフィアン記号表記)型:意味的に関連の無い複数の記号の音韻的一致おんいんてきいっちや類似に意外性をもとめるもの。地口じぐちともいう。ほとんどのオヤジギャグがこのタイプ。

e.g.豆乳に新価格投入トウニュウ! 納得ナットウく価格の納豆。お買いトウフな豆腐。 

*e.g.:exempli gratia:例えば

      

所記しょき(signifieシニフィエ記号内容)型:音韻的には一致も類似もしない複数の記号の意味的な一致や類似に意外性をもとめるもの。落語のオチの多くはこのタイプ。

e.g.その豆腐の原材料が遺伝子組み換えか否かということにる夫婦喧嘩だったが、子供たちのなとりなしにより二人はもとのさやにおさまった。


③複合型:

e.g.31日に買った大豆製品は味噌かミソカ

安倍川餅あべかわもち食べる?」「えっ?大きな声キナコえで言ってくれ」          


 オヤジギャグは返歌のようにカエさなければいけない。上司などからのオヤジギャグを巧くカエすことによって、自分への社会的評価が上がることがある。カエし方については、次の2つが一般的である。

①ナげカエす:ナげられた場合の対応。(ヒントを与え相手にギャグを言わせる 

 ことをナげるという)

e.g.

「この厚揚げ、近くの店には売っていなかったよ」

遠くトオフの店で買ったんですか?」

「フランス料理にも醤油や豆腐は用いるようじゃの」

そうじゃsojaそう言やぁsoia、イタリア料理にも使うって話じゃ」

 *soja=大豆(フランス語)  *soia=大豆(イタリア語)


②ナガす:ギャグを先に言い相手を牽制すること。

 人間関係を壊すことがあるので注意。

e.g.

・上司「皆の一致した意見で、この醤油に決めたんだ。時間もなくて…」

 部下「はいはい、全員の総意soyですね。急いいsoyで決めたんですね?」 

 *soy=大豆(英語) 

 この時点で上司が言葉に詰まると人間関係が壊れる恐れがあるが、ギャグスキルのある上司であれば、「ショウユうことだ」などとナげかえしギャグシーンが良好に完結する。

 部下たるもの、上司のギャグスキルを見極める必要がある。


・「あの豆腐屋、俺の言うがままにマけてくれたよ」

 「部長の言いなりイナリだったんですね。 危な気アブラゲない値段交渉でしたね」


 以上、本当ホァンドう大事ダイズなことでした。*黄豆ホァンド=大豆(中国語)


 *soy(大豆)の語源は日本語の醤油。長崎辺りの方言の醤油ソイユが欧州に伝わったものらしい。

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