消失

第1話 目覚め

・・・・・・・何故ここに?




見たことのない景色が眼に飛び込んでくる。

森? 山の中? 遭難?

妙に嫌な頭痛がする。

車の中にいる事は認識が出来る。

1人?他に人の気配はしないようだ。

頭痛の他に気になる事が一つある!


・・・・・・・俺はだれだ??



あれ?

おそらく人にとって一番分かっているであろう事が分からない。

車のルームミラーで自分の顔を確認する。

おそらく40代の男性であることは、大抵の人ならわかる気がする。

特にイケメンでもなく、それほど不細工でもないと思った。


心なしか首のあたりがヒリヒリするのが気になった。


頭痛がひどく、誰かに助けを求めるために一旦車の外に出る事にした。

車の時計は14時05分を表示していた。

携帯電話の存在をなぜか忘れていて、近くにあった公衆電話に歩み寄った。

財布も持っていないようだったので、公衆電話に備え付けの赤いボタンを押した。




受話器の向こうから聞こえてくるのは「はい、どうしました?火事ですか事件ですか?」

私・「すいません、頭が痛くて・・・。」

「現在地はどこですか?」

私・「山の中みたいです。詳しくは分からなくて。」

受話器の向こうではちょっと困惑しているのを感じた。

「公衆電話ですよね?」

私・「はい」

「電話の上に番号が書いてあると思いますが数字を教えてください」

私・「あ、1236です」

少し時間をおいて「分かりました。一人ですか?」

私・「多分・・・。」

明らかに相手の不信感が伝わってくるのが分かった。

「場所は特定しましたのでその場にいて下さい」

私・「車の中にいても良いですか?」

「大丈夫です」



とにかく車に戻って人が来るのを待つことにした。



しかし一体何が起きているのか見当もつかなかった。

まずは自分が誰なのかが分からない!


どうしてここに来たのだろう。

あきらかに人も車も通るような場所では無いのに・・・。

でもなぜ目の前に公衆電話があるんだろう?

特に電話線が公衆電話に繋がっているようには見えなかった。


15分くらいだろうか。遠くの方から救急車のサイレンが聞こえてきた。

少しほっとしたような、何か嫌な予感がするような・・・。


救急車は私の車の前に停車して、中から救急隊員であろう男性が2名降りてきた。

私は車から降りるべきか鍵をかけるべきかなぜか判断に迷った。

ただ、なぜ判断に迷ってろだろう?

結果的にはドアを開けて外に出る選択をした!

この選択が良い方向に向かわないとしても・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る