化け物の成長記録

Leiren Storathijs

プロローグ

『ウオオオオオオ!!!』


 とある世界のだだっ広い荒野のど真ん中にある研究所。元は、囚人の収容施設で、処刑ではなく、人体改造の人体実験が行われていた施設。


 その施設は一度は非人道的として、政府から廃棄されたが、だからといって人体実験が終わる事は無かった。廃棄される前から既に完成していた被験体は、その施設の地下室で度々雄叫びを上げ、『時』を待っていた。


 そんな捨てられた施設には、ただ一人の研究者が居た。既に歳は八十を超えているが、研究に対する執念は若き当時からずっと引き継がれ、被験体の更なる改造を試みていた。


『ウガアァアアアッッ!!』


 薄暗い地下室の壁に丈夫な鎖で縛られ、ガチャガチャと暴れて抵抗する被験体。元は人間だったが、長年に渡る人体実験に最も適応し、今では人の面影も無い化け物となっている。


 その様子を眺めるのは一人の老人。


「はっはっは……もうすぐだギガロス。これからお前は自由の身となり、その力を更に上げるのだ。最早……人間だった頃の記憶など残ってはいないと思うが、もしまだ憎悪の感情があるならば、外の人間に向けろ。好きに暴れて構わないから、お前の気の済むまで、破壊と虐殺を行うのだ」


『ウウウ……ウアアアァァッッ!!』


 被験体の名前はギガロス。今すぐにでも鎖を引き千切ろうとするが、それは叶わず。しかし、次の研究者の言葉でギガロスは覚醒する。


「さて、そろそろかな。ギガロスよ、「やれ」」


『ウガアァアアアッ!!』


 ギガロスは研究者の言葉を聞くと、何かにスイッチが入ったように更に大きく雄叫びを上げ、更に激しく暴れる。


 先程までの力とは鎖がいとも簡単に弾け飛ぶ様子で比べ物にならない事を示していた。そうして叫びながらギガロスは地下室の天井を拳で突き破り、地上に這い出ると、息を大きく吸い込み、荒野全体に轟かせる程の雄叫びを上げた。

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