第3話 残り10時間。





「予定していた婚約破棄、アレ中止な」

「はぁ!?マジかよ」


 日が変わって太陽が顔を出すちょっと前。

 俺は同い年で友人でもある貴族、ロッキの家に居た。


「何で今更そんな事を……」

「やっぱり、お前の言う事は正しかったと俺は気づいたんだよ」


 このロッキは俺が婚約破棄作戦を考えた時に真っ先に反対した人物でもあった。

 だが、俺がしつこく頼み込んだのと、何かあれば好きな人に良くない事が起きるぞ?と脅したせいで巻き込まれた人物だ。


 罪悪感に苛まれながらも俺に従ったせいで、未来では一緒の処刑対象。オマケに好きな人はエリシアと密かに友人関係だった事が後から判明して、彼女を貶めた犯人だと嫌われて結婚出来なかったのだ。


「友人であるお前に辛い思いをさせてすまなかった」

「本当だぜ。どれだけ俺が苦しんだか……好きな女も人質にされて……」

「それについては後からいくらでも殴られてやるから今は許してくれ。そうだ!お前が好きな平民の子との結婚で悩みがあったら王家が全力でバックアップしてやるからな」


 エリシア関係もあったが、惚れた相手との身分差も結婚出来なかった理由の一つだったんだよな。

 本当に俺は自分だけしか見えてなかったぜ。


「はぁ!?何だよその掌返し!都合良過ぎだろ」

「知らんのか?俺は昔からこうだ」

「調子いいのは昔からだけどよ……はぁ、仕方ねぇな。何かする事あるか?」

「いいや、間に合わなかった場合の事もある。お前は何を聞かれても無関係だと言い切れよロッキ」

「分かったよ、ダチ公」


 ダチ公か……。

 婚約破棄をしてからは一度も俺をそう呼んでくれずに巻き込まれる形で処刑されたロッキ。

 なんだか感慨深いが、時間がない。


 さて、次。



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