第2話

 俺は、三人家族。親父、兄貴、俺。お袋は、俺の物心つく頃には居なかった。親父は、死別と言っているが、兄貴は出て行ったと言っていた。まあ、どちらでも良いけど。


 親父は、土地の権利収入の遺産があるらしく、働いていないし、俺は親父の働く姿を見た事がない。その都度、違う女が出入りしていて、俺にとってはお袋が居なくても、お袋の様な人が沢山居たから、寂しさも不便もしていなかったんだと、思う。

 

 小学六年生の時に、お袋代わりの女の人と初体験した。


 高校も部活もしないでフラフラして、大学進学の為に福島から上京した。


 大学へ行ってもやりたい事もないし、仕送りは親父からも、何人ものお袋代わりの女の人達から送ってもらっていたが、友人に誘われて、メンズキャバクラのバイトを始めた。

 実質、ホストと変わらないが、ホストほどハードで厳しい世界ではない。例えるならママ活とホストの中間と言った所だろうか?

 ホストは、上客やらキャバ嬢の客が多いが、メンズキャバクラの客層は、風俗嬢やらデリヘル嬢が多い。それは、ホストに比べると金もスタッフも安価なので、そう言った客層が多い。しかも、シングルマザーや、訳有な感じの女性や、独身女性が多い。つまりは、愛に飢えている、そこそこお金はあっても使い道がわからない女が多いのだ。

 だから俺は、メンズキャバクラでの給与は少なくてもいい。むしろ収入は、別途でお客様からの『支援金』の方が額は多かった。

 だってそうだろ?アフターやら同伴なら店の利益で何パーセントかは引かれてしまう。 

 なら、別途で『ご支援』して頂いた方が、稼げる。お客様も『お店じゃなくてプライベート』で会えてる、と満足そうだったし。

 先輩達は風俗やらデリヘルをしていて、それに付き合わされた事もある。それはその店へ客として行き、その後の指名してくれる『未来のお客様探し』の為だったらしい。いわば、『未来への投資』。鶏が先か卵が先かと言うか。ゆうて俺は、ゆるーく働いていた。それでも豪遊やギャンブルが好きだったので、その都度お客様に「家賃が払えない。」「俺、自分で学費払ってて、今月学費払えるかな?キツくてさぁ。」「福島の家族が病気らしくて、帰りたいけど金無くて。」と、適当に言うと、有り難いことに、お客様は喜んで支援して下さった。

 

 もちろん親父も、兄貴も元気だし、二人とも健康だ。

 俺は口頭で何回二人に病気になってもらったか、死んでもらったかわからない。


ーーーーーー


 年末、実家へ帰った。


 親父と兄貴。お袋代わりの人は居なかった。親父いわく、一年に一度位、男だけで集まる日が大切、との事だ。


 そして、この後、各自各々の近状報告が始まる。

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