第34話:リベラルアーツ、面白そう

 このセンターは、学生たちが自分自身の頭とハートから発する言葉で語ることができ、世界を展望する広い視野をもちながら、日本のどこでも、世界のどこでも通用する人間をめざす教育を行います。また、多様で複雑な現代社会において、しなやかな感性と強靭な知性をもって行動する事。


 そして未来を創りだせる人間を目標に、これからの教育を考えるための多くの活動を実践する。このセンターは、学生たちがリベラルアーツ教育の創造にも参加する機会を設けています。若者たちが自分たちの身につけるべき「人間としての教養とは何か」を本学の教員とともに創りだしていく。


 リベラルアーツセンターは、教員と教員、教員と学生、学生と学生の議論を通じてリベラルアーツセンターの現代的役割を探る拠点。以上の事が書いてあった。つまり、理工系分野の高い資質をもちつつ現代社会の諸問題に正面から立ち向かう事のできるリーダー育成、個人の人間性を高め、また堅固な社会性を培うための教育。


 学生たちが自分自身の頭とハートから発する言葉で語れる、世界を展望する広い視野をもちながら、日本、世界のどこでも通用する人間をめざす教育。また、多様で複雑な現代社会において、しなやかな感性と強靭な知性をもって行動する事。この文面を見て、達也は、これこそがシリコンバレーで必要とされれる資質だと考えた。


 そのためリベラルアーツの講義を受けるようと考えた。これで、艶子さんと一緒にいられる時間も増えると、ここの中でほくそ笑んだ。直ぐに、その話をしたいと、学生食堂の喫茶室で待ち合わせた。すると、河合艶子さんが、来て、先日は、本当に、ごめんなさいといと謝った。達也は火傷もしてないし大丈夫だと言った。


 次に達也がリベラルアーツって面白い学問だねと言い授業に出ると言った。その理由は、昨年、シリコンバレーに行きソフトウェア開発のバイトしながら優良企業の就職を目指す、この大学の先輩に世話になったと話した。シリコンバレーには、一攫千金を夢見て世界中のすぐれた若手プログラマーが集まっている様子を聞いた。


 そこで外国人の友人も数人できた。実は、今年の夏も3週間の予定で、シリコンバレーに行って、現在の状況と今後、自分がどうするべきか、また、一番要求されてる能力は何かとか、どんなソフトウェアのニーズが一番高いかなどを調べてくるつもりだと話した。すると、素晴らしい環境ねと、彼女が言うので、違うと言った。


 自分の両親が小さい頃に交通事故2人とも同時に亡くなり、偶然、自分だけが助かったという話をした。両親が亡くなって児童養護施設で育ったと伝えた。7年前に、今の両親に養子としてもらわれたと言った。その両親の母がアメリカ人で、是非、シリコンバレーに挑戦すると良いと言ってくれて渡航費用も出してくれた。


 その両親の期待にこたえるように頑張って勉強しているのだと答えた。すると、そんな大変な過去がある事も知らないで勝手な事言って、ごめんなさいと謝った。良いよ、別に本当の事なんだから。それより、僕は、今の自由に、好きな事を自由にやらせてもらえて本当に感謝していると言った。


 その話を聞いて河合艶子は、涙を浮かべて、素晴らしい話ねと言った。是非、御両親にお会いしたいわと言った。そこで、僕も、君の事好きだから前もって両親に話しておくから空いてる日を教えて欲しいと伝えるとわかり、次第、連絡しますと言った。その後、艶子さんから2019年4月21日に訪問したいと連絡が入った。


 達也が両親に確認し、面会する事にした。12時前に、艶子さんが、お土産を持って、武蔵野の達也の家を訪問した。そして、艶子さんが、東京工業大学のリベラルアーツに今年入学した河合艶子ですと挨拶した。

「その話を聞いて、父の成宮賢が、リベラルアーツって何と聞いた」


 それに対し、艶子さんは、私も完全に理解できて今すんがと前置きして話し始めた。「リベラルアーツ」日本語に直すと「教養教育」が、いちばん近い様です。教養という言葉には悪い意味はないのですが、これまで大学における「教養教育」という言葉には「専門教育」の前に学習する一段低い教育といった感じだった。

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