第20話:プレステ、任天堂に敗北とジョブズがピクサー買収

 この後、後継機プレイステーション2を発売し、ソニーはゲーム市場で更に勢力を拡大することを目指した。プレイステーション2は、プレイステーション以上の圧倒的な普及を見せ、ドリームキャスト・セガ・ゲームキューブ・任天堂・Xbox・マイクロソフトといったライバル・ハードを蹴散らした。


 しかし、プレイステーション2はハード売上げこそ前世代機を上回っていたが、ソフト売上げでは下回っており、市場規模としてはプレイステーション時代から大きく減少してしまった。プレイステーション2は圧倒的な勝者であったが、その実、かつての勢いは失われていた。


 開発費高騰や、ソフトのマンネリ化で、ユーザーが、どんどん離れてしまった。しかしソニーは、そのことに目を向けようとはしなかった。その問題が表面化したのが2004年12月発売のソニーPSP。PSPは携帯ゲーム機とは思えない程の高性能なハードでしたが、ソフトには目新しいものがなく、普及しなかった。


 日本では、モンスターハンターが大ヒットし一定の市場を築くことができたが、海外でのヒット作は皆無でユーザーからも小売からも全く相手にされなかった。そんな中、任天堂はDSでゲーム人口拡大を目指しました。脳トレなどで今までゲームを遊んでこなかった人達をもターゲットにし市場を大きく拡大する事に成功した。


結果、任天堂DSはソニーPSPを圧倒する普及を見せソニーはゲーム市場において初めての敗北を味わった。その後、2006年、プレイステーション2の後継機としてプレイステーション3を発売したが2006年の任天堂のWiiの後塵を拝し、ソニーはまたしても任天堂に敗れた。


 2011年のソニーVitaに至っては、歴史的大失敗に終わった。また、ここで、話題をアメリカのスティーブ・ジョブズに戻してみよう。スティーブ・ジョブズが1986年はじめ、突如、アップルコンピューターを退職してピクサー・アニメーション・スタジオを1千万ドルで買収したとのニュースがアメリカ中を駆け巡った。


 買収額の1千万ドルの内訳はジョージ・ルーカス自身に500万ドル、ルーカスフィルムに500万ドル、その会社をピクサーとして1986年2月3日に独立会社とした。買収の背景として、ルーカスフィルムが7年間に及ぶCG作成ツールの研究による現金流出を止めたかった事。


 さらにルーカスの離婚慰謝料の支払いがあった。ジョブズは買収資金として退社したアップルコンピュータの株を売った資金の一部を流用。独立当時のピクサー経営陣は、エドウィン・キャットマル・社長兼CEO、アルビー・レイ・スミス・エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼制作監督、スティーブ・ジョブズ・会長となった。


 スティーブジョブズの考えはアニメーションスタジオをつくることではなく、アップルに対抗する次世代の家庭向けコンピュータをつくることにあったようだ。こうしてピクサー・イメージ・コンピュータを販売する事業として新たなスタートを切ったが、思うように売れず赤字が続いた。


 そのためスティーブジョブスが5400万ドルもの大金を自分のポケットから会社に注いで何とか存続できるような状況だった。そこでピクサーは大きく舵をきることになります。ハードウェアの販売をやめ違う領域に向かう事を決めた。次に向かう領域が何か、また自分の会社を支えられるかをわからない。


 この大冒険に踏み切った訳は、ただひとつ、自分たちが最初からやりたかった事をとことん追求するという決意だった。その後、CGアニメーションで活路を見出そうとしたピクサーはジョン・ラセターの作った短編アニメやCMなどでクリエイティブな賞をとることにより実績を作た。


 そして、遂に、あのディズニーからピクサーが長編映画を作り、ディズニーのものとして配給したいのだが、協力して欲しい言われた。出来た作品がトイストーリー。これまで、ピクサーに、口出ししなかったスティーブ・ジョブズが、素早く動き、トイストーリーを公開する前に株式を公開しよう決めた。


 ジョン・ラセターとキャットムルは

「いや。とりあえず2、3本、獲ってからにして下さいと反対した」

しかしジョブズは駄目だ、今やるんだと決めた。

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