第5問―クイズは理系もある―

その時は来た。

ここ2週間は、ひたすら難読漢字を予習と復習をやって来た…勤倹力行きんけんりっこう

さぁ今日も始めようクイズを。


「えへへ、今日はお兄ちゃんと部長の対決だね」


女神から拝借したタブレットを持ち頬を緩める超かわいい知沙。

贔屓目ひいきめを差し引いても才色兼備で博識強記なのは万人そう評価する。


「ああ。俺の勇姿をこの目で刮目かつもくしてくれたまえ知沙よ。

さぁ女神先輩、男子三日会わざればと言いますよね。今日の俺は一味と違う所を見せますよ」


ピシッ、と決めゼリフを決める。


「そうなんだ…ちょっと感動しちゃった私。フフッ」


「…感動ですか?」


「うん。実を言うとね、知沙ちゃん心の底から楽しそうだったけど兄はそうでもないって…失礼な評価でごめんねぇ。本当」


先輩は頭を下げて陳謝する。


「い、いや…当然の評価と言うか慣れていますので気にしないでください…はい。

やっぱり無意識に比較されて俺の方は、どうしても散々な評価になるというか…だから謝らないでください」


よく知沙の兄だからと周りは過大評価をしてくる。羨望や憧憬から

無価値に等しく突然そう向けられるのは、よく分かる。

だからこそ先輩の行動があまりにも意外で一瞬なにを言われたのかと思ったぐらいだ。


「お兄ちゃん誠意を込められている相手に否定しているようだよ。

何をすればいいのか知っているよね」


やんわりと指摘をした知沙に、そうだなと頷いてみせる。女神の誠意に俺は素直に受け取る。


「許します先輩。ほら、もう頭を上げてくださいよ」


伏せた顔をおもむろと上げる女神の表情は柔和な笑み。


「優しいんだね二人は」


「知沙は完璧超人ですからね。俺は優しくないですけど」


「何を言っているのか?お兄ちゃんは。優しさを忘れたのは

わたしですぅぅ!」


「はは、あっはは。

さすが兄妹というのか二人はピッタリなんだね相性が。

一つ質問だけと女神先輩って?」


そこを聞くの女神先輩。

やっと先輩と打ち解けた流れで今日のクイズ対決をする。聞かれた件は別の話題で逸らす。


「ではでは第一問だよ!!!

オガネソンの元素記号と言ったら?」


…あれ?おかしいなぁ女神先輩の言葉から文系しかないとあったのに。

文系じゃなく理系だよね…普通に。ピンポーンボタンを素早く押して音を鳴らせたのは先輩。


「Og」


「正解!やっぱり簡単だったかな」


全然。普通に分らないと思うぞ知沙よ…たぶんだけど。いやいや、

物議を醸す覚悟で俺は告げる。


「先輩これって矛盾してません?前はクイズは文系が多いとか何とかを」


「うん。でも必ずしも理系は出ないとは限らくて、出題される頻度が比較的に少ないだけなの」


ほう、なるほど。理系は出るときもあると仰る先輩…ど、どうしよう。文系しかやっていないから理系なんて!?


「それでは第二問目でーす!

ゲルマニウムの記号はGeですが原子番号はいくつでしょうか?」


がああぁぁ!!わからねぇー!?


「32番!」


「二問目も正解!普通にそうだよね」


何か普通なのでしょうか知沙。

その後は圧倒された。俺は1問も解けずに完敗してしまった。


「つ、強いし、出題されたのが難しいすぎてアイデンティティは崩壊しました…」


もう頭がおかしくなった俺は思った事をそのまま言葉を言うだけの魂がない抜け殻になったとさ。


「えーと、

お兄ちゃん水素の記号は?」


「わかるわけがねぇ〜」


「じゅ、重症だ…ちなみに元素記号の答えを言うとHだよ」


水素を知らないと思ったのだろう答えを言った知沙。ちなみに当たっていて水素の記号は忘れていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る