第29話 雑魚ですが脈ありでしょうか?


俺は、せっかくの休みなので桔梗の家に遊びに来ていた。いつも通り、スマブラをだらだらとしていた。


桔梗「どら食らえ!スマッシュ!」


蓮華「はい、かも」


桔梗「あっ、ちょやめ、やめて!」


蓮華「やめません」


桔梗「ぎゃあ!!」


テレビの画面に『GAME SET』の文字が映る。


桔梗「くっそ、また負けたわ」


蓮華「俺にかかればこんなもんよ」


桔梗「もう一回だ!もう一回!」


突然、俺のケータイが着信音がなった。

ケータイの画面には、弟の風鈴の名前が出ていた。


蓮華「すまん、風鈴から電話きた」


桔梗「へーい」


一旦、廊下で電話出る。


蓮華「もしもし、どした?」


風鈴「兄貴、助けてくれ」


蓮華「なんだ?また喧嘩でもしたんか?」


風鈴「いや逆だよ、喧嘩をふっかけられた」


蓮華「どういう事?」


風鈴「あんまり時間が無いんだ、俺達をかばって、金髪のお姉さんがそいつの相手をしてるんだ、お願いだ助けてくれ」


金髪のお姉さん。

その言葉を聞いて、嫌な予感がした。


蓮華「場所は、桔梗の親父さんの倉庫だな?」


風鈴「うん」


蓮華「わかった、丁度桔梗の家にいるから、一緒に来る」


風鈴「ありがとう」


蓮華「任せとけ!」



そして、倉庫に全力疾走でたどり着きて、今。

予想通り、向日葵の事だった。

可愛い服が、伸び伸びになっている。

少し離れた場所に向日葵を寝かした。


向日葵「気をつけてください、あいつ全然パンチが効ききません」


蓮華「どういう事だ?」


向日葵「私が、鳩尾にパンチを入れてもびくともしませんでした」


蓮華「......なるほどわかった、向日葵は、ここで休んどけ」


向日葵「ありがとう」


俺は振り向き、竹中を睨み付ける。


蓮華「相変わらず、卑怯な事ばっかりしてるみたいじゃねぇか?」


竹中「卑怯?なんのことだい?」


蓮華「とぼけても無駄だ、その服の下になんか着てるんだろてるんだろ?通りで向日葵のパンチも効かない訳だ」


竹中「はっは、知ったところでどうする?俺から脱がすか?」


蓮華「そんなの決まってる」


俺は、竹中の懐に潜り込む。

そして、右脚で思いっきり股間を蹴り上げる。


竹中「ぎゃああああ!!!」


竹中は、痛みで股間を押さえながら転がり回る。


蓮華「防具が無いところを攻めるだけだ」


転げ回る竹中を止め、馬乗りになって顔面を殴打する。


竹中「やめ、やめて!、やめ」


蓮華「どうせお前の事だ、向日葵の話も聞かずにここに連れてきたんだろう?それとな、ここの倉庫は、俺たちの溜まり場を後輩にも使わせてやってるだけに過ぎない、てめぇらの場所じゃねーんだよ!」


竹中の顔面が、ボロボロになった辺りでパトカーのサイレンが聞こえてきた。

パトカーが2台ほど来て、中から警察官が出てきた。


蓮華「こんなことやったんだ、お前は、もう終わりだよ」


竹中「ずみませぇ〜ん!!この人にいじめられまぁぁす!!」


竹中が、ボロボロの状態で叫ぶ。

こんなになってもニヤニヤと笑っている。

まじかよ、勘違いされるかもしれない。


警察官「そこの少年、両手を上げなさい」


警察官が、拳銃をこちらに向けて近づいて来る。

仕方ない、俺は両手を上げ立ち上がる。

すると、竹中がひょいと起き上がり、警察官の懐に潜り込む。


竹中「あの人に暴行されましたぁ!!助けてくださぁい!!」


警察官が、竹中の手首に手錠をかける。

竹中が、驚いた表情をする。


竹中「なんで、俺に手錠をかけるんだ!」


すると、警察官の横から楓さんが現れる。

楓さんは、竹中の目の前に黒い棒状の電子機器を見せた。


楓「これ?なんだと思う?」


竹中「......ま、まさか」


楓さんが、電子機器を操作すると音声が流れ始めた。


(無免許運転なんてしていいと思ってるの?)


(バレなきゃいいんだよ)


その電子機器から楓さんと竹中の会話が流れる。

竹中は、顔から血の気がひいていく。


楓「あんたみたいな馬鹿は、すぐに自分から証拠を用意してくれるから助かるわ」


竹中「お前、お前!」


楓「その顔、蓮華君にやられたんだ、ボッコボコにやられてるわね」


神奈月さんが、ニヤリと笑う。


楓「ざっこぉ」


竹中「くそがあぁぁぁ!!」


警察官「大人しくしろ!君もあんまり刺激しない!」


楓「はーい」


竹中は、そのまま拘束されパトカーで運ばれた。

俺達も事情聴取として、別のパトカーで警察署に行くことになった。

同じパトカーに神奈月と紫陽花が乗っていた。


蓮華「神奈月さんありがとう、勘違いされたら面倒なことになる所だったよ」


楓「いえいえ、こちらこそ、君が桔梗を連れてきてくれたお陰で、こっちも早く呼べたわ」


紫陽花が、急に俺に抱きついてきた。


蓮華「おいおい、どうした?」


紫陽花「......向日葵を、向日葵を助けてくれてありがとう、来てくれなかったら間に合わなかったよ」


紫陽花は、泣きじゃくって、顔がぐしゃぐしゃになりながらそう言った。

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