第26話 真っ青ですが脈ありでしょうか?



竹中「いや、久しぶりついでに挨拶したくてね、後からちょっとお茶行こうよ?」


向日葵「結構です」


向日葵の声色が、急激に変わった。

この声は、最初の頃の冷たい声だ。

抱きつくのをやめて、周りを見た。

正面に向日葵と話している男の子がいた。

ツーブロックのガタイのいい人だった。

ピチピチの半袖黒シャツに黒の半ズボンを着ていて、いかにもスポーツマンみたいな格好だ。


竹中「いいじゃん、そこの2人も一緒にどう?」


向日葵「私は、嫌だと言ってるんですよ、相変わらず話を聞きませんね」


楓「向日葵さんもそう言ってます、お引き取りください」


向日葵は、彼に対して睨んでいる。

彼は、少し残念そうな表情を浮かべる。


竹中「そうか、じゃあいいよ、バイバイ」


彼は、その場を去った。

なんなの?じゃあいいよって、知らない人だけどムカつくんだけど。


紫陽花「あの人誰?めっちゃくちゃ失礼なんだけど」


向日葵「......彼は、竹中 剛、私をいじめていた張本人です」


紫陽花「......まじか、大丈夫?あんな奴中学に居たっけ?」


楓「あんたは、別のクラスだったから知らなかったでしょうね」


紫陽花「楓ちゃん同じクラスだったの?」


楓「ええ、私が同じクラスだったのは中3の頃だから、向日葵ちゃんの事は知らなかったけど、相当タチが悪い奴よ」


紫陽花「まじか、どうする?もう安全に帰った方がいいんじゃない?」


楓「それがいいでしょうね、嫌な予感がするわ」


向日葵「はい、すみません」


紫陽花「一応、家の人に来てもらおう」


向日葵「そうですね、連絡します。」


向日葵は、小物入れからケータイを取り出し、電話をかける。彼女は、顔色まで青白く変わっていた。余程トラウマなんだろう、事情は知らないけど、あいつが既に嫌いになった。

すると、突然何かが落ちた音がした。


楓「ぐっ......なにするの!」


?「はいはい、大人しくしててね〜」


向日葵「......何故貴方まで」


?「いや、デパートでたまたま見かけちゃったからね、それより、その電話早く切らないと、この子がどうなってもいいのかな?」


声の主は、茶髪のチャラ男みたいな髪型で、頭にキャップと首にヘッドホンを着けていて、なんかDJみたいな格好をしていた。

そいつは、楓ちゃんの首を腕で締めて、動けなくしている。おまけに、脅しまでしてきた。

なんなのこいつ。

向日葵は、歯を食いしばってケータイの電源を落とした。


竹中「よくやった山中」


山中「まぁ〜コンビプレイってやつ?連続で来ないだろうって思わせるみたいな?」


竹中「さて、次のお願いだ、君たちのケータイを俺達にくれ、そしてお茶に行こう?飛びっきりの場所を知ってるからさ?」


こいつらグルだったのか。

向日葵も完全に怯えて、体を震わせている。

私は、向日葵を抱きしめる。

体が冷たくなっている、私がなんとかしなきゃ。


紫陽花「わかった、ケータイを渡す」


私は、自分と向日葵のケータイを竹中に渡した。

気味の悪い笑顔を浮かべた2人。

私達は、そのまま車に連れてこられ、知らないどこかに連れて行かれた。

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