年上好き?

「は?」


一瞬頭がフリーズしてしまった。せっかく家に来たんだからとか言ってたけど探し物がエッチな本って…。


「ふふっ、翔君もやっぱり健全な男子高校生だからそれぐらいは持ってるんじゃないの?」


「いや…。俺は持ってないです…」


え?俺持ってないよな?なんか知らない間に買ってましたとかないよな…?


「本当に〜?まぁ、やっぱり探してみるまで分からないからね♪」


何これ…。どういう状況…?幼馴染のお母さんにエッチな本を探されるなんて誰か経験したことあるのだろうか…?いや、ないだろう絶対。


「まずは、ベットの下とか?がやっぱり隠す場所の定番だよね!」


「いや、本当に無いんですけど…」


えーっと?隠す場所ってベットの下が定番なの?初めて聞いたよ…。どこ情報なんだ?


「ん〜…。無いなぁ」


「いや…。だから無いって言ってるんですけどね…」


悪いが俺はガチで持っていない。こういう状況では持っていた方夏美さん的には面白いのかもしれないが本当に持っていないのだ。


「次は…。クローゼットの中かな?」


まだ、探すのかよ。俺のエッチな本をそんなに見つけたいのか…?


「ん…?なにこの箱?結構大きめだね?」


あれ?なんか夏美さんがクローゼットの奥の方から何かを引っ張り出してきた。


何だあれ?俺のクローゼットだけど俺も知らないぞ…?あんな箱俺はいれた記憶がない…。


「ふふっ♪ちょっと開けてみようかな…」


あれ?別に何もやましいことなんてないはずなのに、こんなに嫌な予感がするのは何でだ?


「あ!これ……。ふふっ、やっぱりあったね!エッチな本!」


「えっ?」


は?えっ、なんであるの…?俺はこんなもの買った記憶もないし、ここに置いた記憶もない。え………?なんで?


「ふふっ♪やっぱり翔君も健全な男子高校生だったんだね♪」


「いや!俺のじゃないです、それは!俺そんな本買ったことないですし!」


「そんな、照れなくても別に普通のことだよ?」


「照れてるって訳じゃなくて本当のことなんですけどね…」


ん?待てよ…。この箱に書いてある本っていう文字は…。まさか…。まさか、これは父さんのやつか!あのジジイ…!母さんにバレないように俺の部屋に隠したのか…?どういう神経してんだよ…!実の息子の部屋にエッチな本隠すなんて…。帰ってきたら母さんにチクってやる。


「あっ!これは………?もしかして……?」


「どうしたんですか…?」


今度は何だ…?また何かマズい物でも見つかったのか…?


「これ……。全部年上のジャンルのやつだよ…」


「え…?」


ガチだよ…。なんか所々、ひとづ…っていう文字も見えるような気が……。いやこれに関しては何も振れないでおこう…。自分の父親の性癖なんて語りたくないし…。


「へ、へぇ〜♪こういうジャンルが好きなんだね、翔君って♪」


「いや、だから俺じゃ………」


顔を赤らめながらも少し嬉しそうな夏美さん。ダメだ…、否定したいのに俺の話聞いてないぞ…。


「そっかぁ♪そうなんだね♪」


夏美さんはニコニコしながらこっちを見てくる。なんか、ちょっと顔近い…。俺も男なのでドキドキしてしまう。


「いいこと、知れたよ♪」


なんだ…。何を…。俺の何を知られたんだ…。っていうか絶対変な誤解してるだろ…。


「じゃあ、これは片付けるね!」


夏美さんが片付けている後ろ姿を見ながら俺はあることを心に決めるのだった。


自分の父親は絶対に許さないと…………。

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