第26話、第三王女ジェシカ・クールカン

家に帰って、母さんに状況を伝えます。


「そんなことがあったなんて……」


「母さんは皇帝のこと知ってるの」


「ええ、ジャン皇帝陛下には小さい頃から可愛がってもらったわ」


「皇帝もそう言ってた」


「ジェシカ様、それが真実なら、今こそ名乗り出るまたとない機会かと」


「私もそう思います」


「俺もだ。ガンダルカンの皇帝と一緒に名乗りをあげて、地固めをしておかないとダメだと思う」


「そうね。ともかく、おじさまに一度お目にかかりたいわ」


「じゃあ、明日にでもみんなで行こうか」


「三人も抱えて飛べるんですか」


「明日までに工夫しておくよ」


翌朝、俺は三人乗った籠をぶら下げてミシティー城へ飛んだ。

三人で150kg、いくら身体強化してもマリアでは無理だったため、シンジの姿でだ。


ミシティー城上空で魔法師が飛び上がってきた。


「マリアの連れだ!」


「了解したが、我々についてきてもらおう」


魔法師に誘導されてミシティー城のバルコニーに降り、モウジュ氏の元まで連行される。


「はて、どういうことかな?」


俺は一度子供に戻りマリアの姿になる。


「これは?」


「私は両性具有なの。

だからどちらの姿にもなれるわ」


「ほう、そのような便利な体とは……」


「ご内密にお願いします。いろいろと使い分けているものですから」


「承知した。で、そちらの御仁は?」


「母のジェシカ・クールカンと側近です」


「おお、第三王女様」


「モウジュ殿ですね。

ガンダルカン皇帝に取次ぎをお願いします」


「は、こちらへ」


モウジュさんの案内で室内に入ります。


「皇帝陛下、ジェシカ王女様がお見えです」


「なに、待て、着替えを頼む」


「おじ様、無理なさらないでください。

横になったままで結構ですよ」


「おお、ジェシカ……すまんな、我が国がミシティーに迷惑をかけた」


「仕方ありませんわ、それよりもしっかり静養いただいて、それから対策を考えましょう」


「そうも言ってられんのじゃ。

今、国内におる兵士を掌握せんとな」


「でしたら、私からも旧ミシティーの国民に呼びかけましょう」


「ミシティーも共に戦ってくれるのか」


「当然ですわ。

微力ながらお手伝いさせていただきます」


「では、今日中に軍の統率をとって、明日昼に王女からのメッセージを発信すると通知させましょう」


やはり、トップ同士だと話も早い。

母さんたちは、今日から城へ滞在することとなった、

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