第12話、無法者


あきらめて依頼を探していたら、掛けこんできたエルフの少女。


「やっばー、寝坊しちゃったよ」


「あはは、ライラ、こんな時間に来ても碌な依頼は残っちゃいねえぞ」


「あきらめて、うちのパーティーに入んな」


「あのー、これ一緒にやりませんか?」


「えーっ、Cランクじゃん。

あんた属性は?」


「水ですけど、氷の方が得意です」


「どれくらいの相手まで倒せる?」


「オーガくらいなら」


「じゃあ、これにしよ。二人なら楽勝よ」


「あっ、お願いします」


二人でBランクの依頼を受注して外に出ます。


「それで、なんでお姉ちゃんの匂いがするのかな」


「あっ、分かるんですか」


「私は特に敏感なの」


「これ、ライアに借りた服なんです。

とりあえず、町の外に出ましょうよ」


「賛成よ」



森の中に移動してライアからの手紙を渡します。


「ライラという名前と、ライアと同じ髪の色を探すように言われてきました。

多分、冒険者を続けているって」


「うっ、お姉ちゃんの匂いだ。お姉ちゃんの字だ…

どこにいるのよ、お姉ちゃんのところに連れてってよ」


ライラが胸の中で泣いています。


「シッ!」


サーチに反応があります。

三人組、ギルドからずっとついてきています。


「ほう、女二人で抱き合ってるなんて勿体ねえな」


「そうそう、抱き合うんなら男の方が気持ちいいぞ」


「ダメ、Bランクの奴らよ、逃げましょう」


「おっと、帰り道はこっちじゃないぜ」


「エルフの秘術で気持ちよくさせてくれよ」


グフッ ゲフッ ゴフッ


「えっ?」


「心臓を凍らせたわ。

トラブルになる前に移動しましょう。

どこか、落ち着いて話せる場所知ってる?」


「じゃあ、私の家へ」


「ダメよ。見張りがついているかもしれないから、そうね、依頼を済ませたあとで宿の部屋で話しましょうか」



依頼は植物系モンスター:トレントの討伐


「燃やしていいの?」


「ダメだよ。森に燃え移ったら大変なことになる。

暴れだすと根っこを使って移動するからやっかいなの。

水をかけてから凍らせて、根元から切断よ」


「3本一緒にやっちゃって平気かな」


「できるの」


『シャワー!』 『フリーズ!』 ピキピキピキ


『ウィンドカッター!』 『ウィンドカッター!』 『ウィンドカッター!』


ドスン! ドスン! ドスン!


「ねっ、簡単でしょ」

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