第2話、魔法ってどうなんだ

転生物で読んだ気がするが、たしか10か月くらいで視力は0.1だったな。

正常に立体視できるのは6歳くらい。

まいったな。

音は聞き取れる。

繰り返される言葉から、俺の名前はジャスミンらしい…まさか、女じゃないよな。

股間に手をやるが、届かない。

まだ、短いんだ。

だが、オシッコをした時の感覚ではついているハズだ。

女性の感じがどんななのか、経験はないが。



おしめは、泣けば取り換えてもらえる。

多分貧しくはないのだろう。

母親と思われる声と、もう一人大人の女性の声が聞き取れる。

多分ライアというのが彼女の名前だろう。

幸いなことに、子供の声はしないから、一人っ子なのだと思う。



下の前歯のあたりがむず痒くなってきた頃、母親が咳き込むようになってきた。

日に数回の母乳は続いていたが、回数が減っていき離乳食へと取り替わっていく。

母親の咳はひどくなる一方で、それでも日に一回は母乳が続いていた。

何かできることはないのか!

そうだ、魔法が使えるんじゃないか…

ずっと続いていた体の中の違和感。

熱い感じのものが時々生まれて、体の中を駆け巡って消えていく。

あれって魔力なんじゃないのか。



熱いものを意識したときに、それを消さずにコントロールしていく。

体の中を巡らせて練っていく。

チャクラだったか、へその下から胸、胸から頭頂までゆっくりと回すんだったか…


最初はうまくいかなかったが、だんだんコツがつかめてきた。

治癒系の呪文はキュアだったかヒールだったか、どうせ言葉にはできないんだ。

イメージでいいだろう。


日に一回の母乳の時間にあわせ、俺は魔力らしいものを練り上げる。

そうして、母親の胸に手をあてて、一気に流し込む『キュア!』


俺は意識を失った。



「…が、魔力…ですな。なれない…急に…でしょう。…寝ていれば大丈夫」


覚えた単語がところどころ理解できる。


「ジャスミン、ありがとう」


母親が顔をくっつけてくる。


「すごいです。ジャスミン様」


どうやらうまくいったようだ。

俺は安堵して眠った。


母親の授乳回数は増えなかった。

おれは、母親の白い胸が大好きだったんだ。

柔らかいし、優しい匂いがする。

時々なめてみるとアンとかいう母親の声が聞こえる。


俺の意に反して授乳回数は減っていった…


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