第6話 ギリウスの思惑

翌日の朝、冒険者ギルド敷地内の闘技場にて


 大会では魔法は禁止なので、いつも使っている杖は使えず、いい武器も買えなかったので、闘技場内の剣をレンタルすることにした。

 

「では、これより『第三百回 マルリン町 剣闘士大会』を始める」

 挨拶が終わり、大会が開始される。


ドンドン!

ウオオー!

 花火が上がり観客席から多数の歓声が上がる。


 闘技場は直径五十メートルの円状のコロシアムになっており、この広さだと気兼ねなく戦えそうだ。


「ラゴウ! 優勝してねー」

「馬鹿息子、看板に泥ぬんなよ! 絶対優勝しろ」


 観客の真ん中あたりから親父達とレジェ達家族の気配を感じる。

 声援は正直嬉しいし、心強い。

 俺は手を振って声援に答えた。

 

 俺は順調に勝ち上がり、決勝トーナメントまで勝ち進むことができた。

 後二回勝てば剣を使っての優勝という素晴らしい実績ができる。

 実績ができれば上級職に昇格する時に剣を使える職に就くことが可能になるはずだ。


 と、その時審判の入れ替わりの『拡声音声魔法でのアナウンス』が流れた。


「あーオホン、これからは儂ギリウスが直接司会及び審判をする」


 観客席から多数の歓声が上がる。


「昔魔王を倒したと言われるPTの大魔導士ギリウス様だ!」

「新しく新ギルド長になったんだってよ!」

「なんでも町が活性化する改革も多数行ってるそうよ」

「ギリウス! ギリウス!」


 すっげー人気だな師匠…。


「静粛に…それではこれより決勝に残った猛者達の紹介を行う」


シーン…


「まず、一人目。我が弟子にして、魔修羅流正当継承者でもある『魔導武闘家』ラゴウ!」

「ちょっ…」


「この杖『ドラゴニックデス』を使いエンシェントドラゴン『土のサランバーデ』を魔法で打ち倒せる実力者である」


 師匠の『幻影魔法イリュージョンビデオ』が発動し、今話した内容の過去の記録映像が大空に映し出される。


「そしてな」


 師匠はこちらを見ながらニヤリとほくそ笑んだ。


 これは…ジジイ計りやがったな。


「すっすげー、『魔導武闘家』は武でも戦えるのか」

「『魔導武闘家』は何でも『我楼羅流』か『魔修羅流』を極めるとなれるらしいわよ?」


 今の大声は真ん中あたりから聞こえた。よく見るとうちの家族達だった。


 …まあ、デスヨネ。


「では次に…」


 師匠は次々にメンツを紹介していく。


 くそ…こうなったら意地でもこの剣を使い優勝し、剣を高らかに上げて、俺は『最強剣士ラゴウ』って言ったる。


 紹介がいつの間にか終わり、俺と相手との試合が始まった。


 相手はなかなかの手練れだった。そして何とか倒せたものの、相手の強烈な剣撃を受けたため、俺の剣はヒビが入ってしまった。








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