冬のゆうべに

うすれた赤と朱の

やわらかにひかる秋の形見

沁みいる黄の班をちらして

影いろに乾いて降り積もる


まっさらなほどの空を映した

ふかい水のおもてを滑っていく

とうめいなあしさきの

もっとも艶やかな北風の処女


銀のハープの風に

静寂がひとつ生まれ

六等星がころころと

まろび落ち


五線の虹がこどもたちの

かろやかな足取りの様に

ゆびさきを導いている


彼方より聞こえ来るもの

響く遠くまで届くもの

これこそが天啓

比するものなど何処にもない恩寵


今日このゆうべに

幸いというかなしみを

土に埋めよう

かみさまのほかには

だれもいない冬に

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