祖母の家の倉庫が異世界に通じているので異世界間貿易を行うことにしました。

劉季邦

第1話

「ばあちゃんち掃除しに行ってくれんか」


父親から連絡が来た、いつもは父が行くのだが今は仕事が忙しいらしく、ピンチヒッターとしてリフレッシュ休暇中の俺が召喚された、もちろん無給でだ


数年前に亡くなった祖母の家はもう住む人も無く、定期的に掃除をしないと家の劣化を招く為だ


(貴重な休みをそんなことに使ってられるか、断ってやる)


なんて思っていると、2通目がきた


「倉庫の中の物だったら好きにし売り捌いていいぞ」


金目の物は遺産相続で無くなっているだろうが、祖母の家は先祖代々が住んでた家だ、骨董品等の掘り出し物があるかも知れないと思い行くことにした


車で3時間走らせると祖母の家に着いた、小さい頃は大きいと思っていた家だが10年ぶりに来ると案外小さいな


玄関の戸を開けると埃にまみれた空気が漂う。


(こりゃあ親父しばらく来てないな)


窓を全部開け、風通しをし、埃を払い、軽く掃除機をかけた、俺の本来の狙いは倉庫の中の掘り出し物の為、母屋の掃除なんて適当に済ませる


次はメインの倉庫の中だ


倉庫には鍵が掛かっており、鍵も見当たらないので

車の中にあったバールで壊して入った、余り人気のない田舎だ、鍵なんて普段から掛ける習慣もない地域だし壊しても問題ないだろ


中に入ってみると


母屋以上にしばらく人が入った気配がなく、小窓から漏れる光に浴びて埃が舞っていた、子供の頃俺が乗っていた三輪車や、欠けた茶碗等ガラクタが散乱していた。物色するには暗かった為車の中にあった懐中電灯で照らしても矢張り珍しい物などなかった、


こりゃあ騙されたと思って色々探してみると全体的に埃を被った物しかなかったが、1つだけきれいに磨かれた人の背ぐらいのタンスがあった。


(なんでこれだけ大事にしてたんだ)


とは思ったが、大事な物が入っているかもと思い上から順番に開けていった、中に入っていたのは吊るしてあった古びた麻の服の上下と"補聴器" "指輪" "眼鏡"があった。


(ばあちゃん耳も目も良かったし、金属アレルギーで結婚指輪もしてなかったのに)


違和感は覚えたが、大事な形見かも知れないと小物だけズボンのポケットにしまった、他に何かないかと探していると地面が揺れた。


(やばいっ地震だ、閉じ込められる)


と慌てて外に飛び出したが揺れはそんな大したことなく車へと戻りすっかり冷めてしまった缶コーヒーとタバコで一服し、倉庫の中に懐中電灯を忘れたことに気づきまた倉庫に戻ると先ほどのタンスが倒れており、その奥に重厚なドアが見えた。


(こんなとこにドアがあったかな)


子供の頃はよくかくれんぼで使っていたが見たことがない。そのドアを開けるには躊躇する、物怖じする性格でもないが闇雲に開けるほど無謀でもない。


親父に聞いてみよう、そう思い車に乗って帰路に付いたが、帰る途中なんとも倉庫のドアが気になって仕方ない。どうせ帰っても暇だし、そうビビるものでもないかと思い引き返した。


すっかりと日が暮れてしまって、暗くなった倉庫は静寂につつまれ一層不気味さが増した、折角覚悟を決めて、戻ってきたのだ、勢いづけて倉庫の門を開け奥のドアまで行き取手に手を掛け押してみた、その先に見えたのは

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る