看病と不思議なシスター

 シスターが熱を出した。


 そう知ったのは、俺の家に何故かいつもシスターが世話をしている黒猫が何やら、慌てて俺のズボンを噛んで引っ張っており、何事かとついて行くと、ベッドに苦しそうに寝ているシスターがいたからである。


「シスター!?」


 シスターのそんな姿は始めてみるので、慌てて俺はベッドまで駆け寄り、シスターの額に手を当てる。


「……熱いな」


「………キ……ミ?」


「起きるな、寝てろシスター」


 体を起こそうとしていたシスターをベッドに寝せる。枕元では、黒猫が心配そうにシスターの顔を舐めている。


 ーーーーとりあえず、冷えピタだな。


「おい、黒猫」


「にゃー」


 意図が伝わったのか、トコトコと冷蔵庫まで移動する黒猫。俺はこの教会に何があるかとかは知らないからな。知ってそうなら猫でも何でも使う。


 しっぽでペシペシと三段目の所を指しているので、そこに冷えピタがあると確信した俺は、冷蔵庫を開けて、冷えピタをだした。


「シスター、少し冷たいが、我慢してくれ」


 一応、シスターには声をかけて少し心の準備をするように言う。こくり、と少し頷いたのを見てから、ゆっくりとシスターの額に冷えピタを貼った。


「んっ……」


「よし……」


 貼った後に、しっかりとくっつくように額を撫でる。


 とりあえず、次はお粥でも作って置いてーーーーー


「………キミ」


 キュッ、と優しく袖を掴まれた。お粥を作ろうとキッチンへ向かおうとしていた俺を引き止めた。


「……ごめんね、キミ………お願いだから……そば……に……」


「……………」


 熱が出た時や、風邪をひいたとき、心が弱くなり、一人になることに寂しいと思うようになるというのは聞いたことがあるーーー俺は一回もないーーーので、シスターの行動も多分それだろうと思って、俺はため息を吐いて、シスターの手をしっかりと握ってベッドに腰掛けた。


「……にゃー」


「………賢いな、お前は」


 同じように、シスターのことが心配で、俺と同じようにシスターの傍で控えていた黒猫の顎を撫でたりしていた。


 次の日、シスターの熱が移ったのかどうかは知らないが、見事に俺は熱を出してしまった。その際に、シスターに看病返しをされ、その時は黒猫も着いてきていた。

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