7話編

ミュー「シリアスのターンがやってまいりました」

アディ「冒頭から誰おま案件」

ミュー「アンタ、ワタシのこと何だと思ってんの?」

アディ「お前にシリアスは似合わん」

ミュー「ワタシだってたまにはちゃんと仕事するよ!?」

アディ「食い物に執着してる姿の印象が強くて」

ミュー「失敬な!」



アディ「というかお前、相変わらずテオドールに手厳しいな?」

ミュー「いや、普通じゃね?アンタが甘すぎんだよ。いい加減に現実を見ろ」

アディ「別に良いだろ。俺には可愛い弟なんだ。アホだとは思うが」

ミュー「どこが可愛いんだよ!アホ通り越して愚者じゃん!」

アディ「落ち着け」



アディ「随分と詳しく知ってるな」

ミュー「現実とは違うかもしれんけどね。まぁ、気にするな」

アディ「そのうち根こそぎ話せ」

ミュー「面倒くさいから嫌。第一、ワタシが知ってる過去の情報を開示したって、別に未来は変わらんだろ」

アディ「…たまにもっともなこと言うよな」

ミュー「ヲイ」



アディ「あの頃は素直で可愛かったんだがなぁ……」

ミュー「まぁ、この頃は可愛かったというのは認めよう」

アディ「だろう?鍛錬も一緒にして」

ミュー「ただ、今は全然可愛くないので、お前の脳内をアップデートするべきだとは思ってる」

アディ「……」

ミュー「いい加減に認めろ、バカー!」



ミュー「個人的に、ここで怒りむき出しにしてるカスパーは嫌いじゃない」

アディ「そうなのか?」

ミュー「主人のために牙を向けるタイプの従者は好きだよ」

アディ「……なら、エレンは?」

ミュー「実害と言いがかりのレベルがやべぇので、あいつはちょっと違う」

アディ「なるほど」



ミュー「ワタシがカスパーを嫌いじゃないのは、話が通じるからだよ。怒りをむき出しにしても、言われた内容を理解する冷静さはあるから」

アディ「あー……」

ミュー「あの狼にそれ、ある?」

アディ「ないな。まぁ、諦めてくれ。エレンはあのままが一番だ」

ミュー「へいへい。ライナーさんに頼むよ」



ミュー「温情で黙ってただけなのに、斜め上に解釈されて誤解されたという困った事案。ライナーさん爆笑しすぎ」

アディ「よほど面白かったんだろうな」

ミュー「ひでぇや。こんなか弱い乙女に向かって。どんな腹黒策士だと思われてんの」

アディ「そんな頭はないのにな?」

ミュー「こんにゃろう」



アディ「流石に、これ以上ユリウスの時間をあのバカに割くのは勿体ないからな」

ミュー「それな」

アディ「あとはまぁ、……機嫌の悪いユリウスが相手というのは、少々不憫で」

ミュー「まぁ、わからんでもない。あいつが口割れば早いだけなんだけど」

アディ「強情だからなぁ……」



ミュー「ワタシねぇ、テオドールは嫌いだけど、アディのお父さんも好きじゃないんだ」

アディ「人の父親に向かって」

ミュー「だって、アディにだけ言うなんてズルいじゃないか。アディだけが背負うなんて、バカみたいだ」

アディ「俺は嬉しかったがな。弟妹を任された気がして」

ミュー「兄バカー」



アディ「しかしお前、よく考えなくても皇帝の執務室で寛ぎすぎだろ」

ミュー「ソファもふかふかだし、クッションもふかふかだから、昼寝するのにバッチリだよね☆」

アディ「自由人め」

ミュー「それを許してるアンタも大概だからね?」

アディ「まぁ、お前なら良いかと」

ミュー「そういうとこだよ」



アディ「学生なら真面目に学べと思うんだが」

ミュー「真面目に勉学に勤しむ人もいるよ。我が家の教育方針が、単位落とさない程度になら学生時代をエンジョイしろってことなのさ」

アディ「そういうものか?」

ミュー「青春は戻らないからねぇ。遊べるうちに遊べってこと」

アディ「よくわからん」



ミュー「ところで、未だにここのやりとりの意味わからないんだけど。ワタシ無駄飯ぐらいじゃん?」

アディ「お前に自覚を期待はしてないから安心しろ」

ミュー「いやだから、どういう意味か説明ぐらいして?」

アディ「したところで理解せんだろ」

ミュー「何故断言!?」

アディ「想像出来る」



アディ「お前が来ると思ってなかったんだろうな、テオドールのやつ」

ミュー「ワタシだって別に会いたくなかった」

アディ「会いたくなかったのに行ったのか?」

ミュー「だってー、ユリウスさんのお手を煩わせるのもアレだし、カスパーも可哀想だし」

アディ「なるほど。そっちか」

ミュー「うん」



ミュー「一応まぁ、カスパーを案じてる部分だけは、評価してやっても良いかなと思ってる」

アディ「……?臣下を案じるのは主にとって当然だろう?」

ミュー「うん、アディはそのままで良いよ。アンタとテオドールは根本的に違いすぎるから」

アディ「?」

ミュー「それが出来ないバカもいるの」



ミュー「今思ったんだけど、テオドールってもしかして、ワタシのこと過大評価してないか?」

アディ「過大評価というか、何だろうな……?お前に対して微妙に拗くれた感情があるようだが」

ミュー「そんなもんいらん」

アディ「俺にもよく解らんが、何か思うところがあるようだ」

ミュー「解せぬ」



ミュー「ライナーさんは安定の脳内で過剰に美化しすぎなんだけどさ」

アディ「比較的マトモに評価してる部分もあるがな」

ミュー「そうなんだけど、ごくたまに、なーんかフィルターかかってるんだよねぇ、ライナーさんでも」

アディ「ただのちんちくりんなのにな」

ミュー「他に言い方なかった!?」



ミュー「ここの少年時代のイラストはめっちゃ好き」

アディ「うちの弟は可愛いだろう」

ミュー「ドヤ顔すんな。あと、『昔は可愛かった』なら理解するけど、現在進行形で可愛い言うな。何も可愛くないから」

アディ「アホ可愛いと思うんだが」

ミュー「いい加減に目を覚ませ、この兄バカ!」



アディ「たまに真面目なことを言うと、誰だろうと思ってしまうのは俺だけではあるまい」

ミュー「ちょっとアンタ、頑張ってるワタシに対して失礼ぶっこきすぎでは?」

アディ「事実だろう?普段のお前と違いすぎる」

ミュー「それ言ったらアンタだって、皇帝モードと悪友モードで違いすぎるわ!」



アディ「最後に食い気に戻る当たりがお前らしいが」

ミュー「頭使った後は甘味が欲しくなるの!あと、シュテファンはワタシの癒やし!!」

アディ「お前、本当にシュテファン好きだな?」

ミュー「可愛くて優しくて美味しいご飯いっぱい作ってくれるワタシの癒やしだよ?」

アディ「お前のじゃない」



ミュー「まぁ、これで面倒なことは終わりだと思うし、次回は平和な回だと思っておく」

アディ「お前の日常に平和なときがあったか?」

ミュー「失礼な!平和と平穏を愛するワタシだぞ!」

アディ「その割に色々しでかすからなぁ……」

ミュー「風評被害!」


以下、口論が続くので割愛!

(終)

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