第24話 そこにいる事

3人はおばあちゃんの家に戻った。


「ねぇ、何かお供え物とかした方が良いかな?」


美海が何気なく提案する。それは信仰心から来たものではなく、引っ越しの挨拶の様な気持ちからだった。


「必要無いよ。あいつもうすぐいなくなるし。」


純平があっけらかん答えた。想像もしていない返事だった。


「何処かに行っちゃうの?」


「違うよ、そのままの意味だよ。居なくなるんだ。」


今まで関係があった訳ではないが、いなくなってしまうと聞いて寂しい気持ちになった。


「何でいなくなっちゃうの?」


郁美が聞き返す。


「日本に生えてる木は、ここ数百年で植樹されたものだからね。僕たちの存在は年齢によるから。だから、あいつの依代は精神年齢に対して若すぎるんだよ。それで、自分の存在の大きさに耐えきれなくなっていなくなっちゃうんだ。」


「全然分からないよ。」


美海が頭を抱えた。


「つまり、身体と心のバランスが崩れて死んでしまうって事だね。」


郁美が純平の説明をわかりやすく説明した。


「あいつが心配なら、少しでも話を聞いてあげればいいんじゃない?少しは消えるのを遅く出来るよ。まぁ、消えてしまうって言う結果は変わらないけどね。」

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