第24話「年齢イコールで恋愛に関する単語が大体当てはまる人間」


「それで、話を戻しましょう」


「そうですね。というか、なんかすみません。話が脱線しまくって」



こうやって話し相手が話題を元に戻してくれると助かるのだが、そうでもない限り、俺はとにかく話を脱線させる悪い癖がある。


自分で意識してるつもりでも、いつの間にか・・・というのがオチだ。


まぁ癖なんてそんなもんだろうとは思うが。



「なんだか、身分が高い人に謝れると反応に困りますね」


「あ、すみません」



いや違う。なんでここで謝るんだよ。つい一秒前に反応に困るって言われたばかりなのに。



「あはは、秋斗様は謝るのが好きなんですか?」


「なんというか、癖みたいなもので」



無論、個人としてのではなく、日本人としての癖である。



「では、一つだけ図に乗ったことを言っていいですか?」


「あ、はい」


「もし秋斗様が反省しているのなら、今度の休日に、私とデートしてくれます?」



うーーーーーーーーーん?


聞き間違いでない限り、たった今、俺はデートに誘われたような気がする。


いや、ありえない。だって俺、年齢イコールで恋愛に関する単語が大体当てはまる人間ですぜ? そんな人に・・・ありえない。



「聞いてます? 私とじゃ、嫌ですか?」


「あーうん。嫌じゃないです。良いですよ」


「やった☆」



了承すると、彼女はすごい嬉しそうな笑みを浮かべ、小さくガッツポーズをする。



「あ、でも期待はしないでください。俺、なんというか、エスコートとかそういうの出来ないんで」


「良いんですよ。そんなこと」


「あ、そうですか。それなら良いのですが」


「それに、ちょうど良いじゃないですか」


「えっと・・・?」


「秋斗様が、この国の経済を肌で感じるという観点では」


「あぁ・・・確かにそうですね」



あれ? こういう言い方をするってことは。



「もしかしてアーヘンさん、俺が異世界人ってこと知ってます?」


「異世界? よくわかりませんが、この国の人でないことは分かりますよ」



あぁなるほど。


アーヘンには俺が異世界人ということは話していないから、知っているのは普通におかしいよな。


別に話しても良いけど、今の反応を見る限り、信じてもらえる確率は低そうだ。



「そういえば、また話が脱線してましたね」



言われて初めて気付く。


確かに・・・。



「すみません」


「また謝りましたね。でも、良いんですよ? 私は秋斗様とお話しするの、大好きですから」


「お世辞でもそういうことを言われると嬉しいですね」


「お世辞じゃないですよ?」


「あ、はい。ありがとうございます」



こんなつまんない反応しかできないのに、彼女は怖いぐらいに笑って応えてくれる。


エマはアーヘンのことを『怖い人』みたいに捉えているみたいだけど、普通に優しい人じゃないか。


次の休日まで数日・・・今から楽しみだ。

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