『秀吉豊臣のすべらない話』すべると打ち首獄門やて。

出囃子

01.秀吉豊臣のすべらない話

　わたしはいま、大阪城（おおさかじょう）の大広間（おおひろま）の畳（たたみ）の部屋（へや）に座（すわ）ってます。

　その部屋（へや）には、なんやたくさんのお客（きゃく）さんがおって、わたしは五人（ごにん）のおっさんと一緒（いっしょ）に、輪（わ）になって座（すわ）っています。

　ちょっと高（たか）い場所（ばしょ）に座（すわ）っている、ちぃちゃいゴリラみたいなおっさんが「うぉっほん」とせきばらいをしました。

　ちぃちゃいゴリラみたいなおっさんは、金色（きんいろ）の服（ふく）を着（き）ています。バカ殿様（とのさま）なんやと思（おも）います。

　ちぃちゃいゴリラみたいなバカ殿（との）のおっさんは、物凄（ものすごい）いおおきな声（こえ）を張（は）り上（あ）げました。

「秀吉豊臣（ひでよし とよとみ）のすべらない話（はなし）！」

　どっかで聞（き）いたことある曲（きょく）が、笛（ふえ）と鼓（つづみ）と三味線（しゃみせん）で演奏（えんそう）されたので、わたしは、ニコニコしながら拍手（はくしゅ）をしました。

　わたしは、「すべらない話（はなし）」やなくて「結果発表（けっかはっぴょう）！」みたいな言（い）い方（かた）やなと思（おも）いながら拍手（はくしゅ）をしました。

「じゃ、早速（さっそく）いこかぁ！」

　ちっちゃいゴリラみたいなバカ殿（との）の「結果発表（けっかはっぴょう）！」みたいなおっさんは、サイコロを持（も）ちました。サイコロには、おっさん五人（ごにん）の名前（なまえ）と、わたしの名前（なまえ）が書（か）かれています。

　サイコロで自分（じぶん）の名前（なまえ）が出（で）た人（ひと）は、すべらない話（はなし）をします。

・・・サイコロは、てんてんと転（ころ）がって、わたしの名前（なまえ）が書（か）かれた目（め）を出（だ）して止（と）まりました。

「お！　ソロリちゃんやん」

「はい！」

　わたしは、ニコニコしながら返事（へんじ）をしました。元気（げんき）に手（て）をあげて、ニコニコしながら返事（へんじ）をしました。

　・・・さて、なんの話（はなし）をしようかな？

　面白（おもしろ）かったら、ごほうびがもらえるみたいです。でもすべったら【打（う）ち首（くび）獄門（ごくもん）】らしいです。なんや知（し）らんけど、熱湯風呂（ねっとうぶろ）みたいなもんやと思（おも）います。

　あ、自己紹介（じこしょうかい）が遅（おそ）くなりました。わたしはアイドルです。大阪（おおさか）のちょっと有名（ゆうめい）なアイドルグループでアイドルをやらしてもらってます。

　今（いま）は訳（わけ）あって、戦国時代（せんごくじだい）にタイムスリップしています。バナナですべってタイムスリップしたそうです。

　ななめ前（まえ）にいる、背（せ）が高（たか）くて顔（かお）が長（なが）い、策伝（さくでん）さんがそう言っていました。

　策伝（さくでん）さんはお坊（ぼう）さんです。ちょっと話（はなし）が長（なが）くて、言（ゆ）うことが厳（きび）しいけど、おもろい人（ひと）です。

　そして、タイムスリップして困（こま）っていたわたしを、助（たす）けてくれた優（やさ）しい人（ひと）です。

　せっかくなので、いまから『バナナですべってタイムスリップして、策伝（さくでん）さんに出会（であ）った話（はなし）」をしようと思（おも）います。