第3話 その2

 授業中はまともなのに、休憩時間になると女子はこぞって見せ合っこする。


 レモンイエローの健康的なのや、女の子らしくピンクのコ、スポーティーなアオや、派手なアカに艶やかなエンジ、大人っぽくクロものいれば、基本はシロでしょと主張するのもいる。


 それを自らまくったり、近くのコのをめくったりしているのだ。

 クラスの半分は男子なのに、あまり気にしないのは、もと女学校という校風のせいかも知れない。

 まあこの状況に、文句を言う男子もいないだろうけど。


 今日の目玉は、ティーバックのコがスカートをまくり上げ、ほぼケツを見せるということで決着が着いたようだ。


「反則よ、あんなの見せられたら、勝てるわけ無いじゃん」


 タカコが憮然とするが、チラ見せに勝ち負けがあるのだろうか? 判定がいまいち分からない。


「ふふん、私なら勝てるわよ。サトーちゃん」


 おお、さすがカトーちゃん。クラス、いや学校のインフルエンサーだけのことはあるな。

 それゆえチラ見せバトルは、あっという間に殿堂入りしたので、もう不参加である。


「あれに勝てるとなると、ノーパンしか……」


「チラ見せバトルで、ノーパンなら反則負けだよ。そうじゃなくて、み・せ・か・た」


「「見せかた?」」


「ううん、魅せかた。さっきのコはスカートを後ろから、ばっという感じで、エリマキトカゲみたいに両手で上げたでしょ。あれでは恥じらいを演出できないのよ。私ならスカートの斜め後ろの端を片手でつまんで、少しづつ上げていくわ。足首、ふくらはぎ、後ろ太ももとじっくり魅せていくの」


 想像するだけで色っぽいな。あたしとタカコは前のめりになって聴く。


「そして足の付けねまで来てから、足をクロスしてティーバックのバック部分を魅せるの。もちろん上半身はひねって後ろを向いてスマイル。アンダーを身に付けている自分ごとで、ひとつの作品としてやるのが基本よ」


おおおおおおおぉ


 話だけで魅せられた気がしたあたしとタカコは、拍手を贈った。さすがだ。


 放課後、それぞれが部活に行くか帰宅するため教室から出ていく。


 あたしはしじみをむかえる為に、急いで保育園に向かうが、保育士さんからスマホに、たてはが連れて帰ったと連絡が入ったので進路変更、自宅に向かった。


 すでに2人は部屋を散らかすという子供らしいライフワークを行っており、あたしはそれを片付けながら、洗濯、掃除、お風呂の準備などをする、長女兼主婦のライフワークを行う。


 両親が帰る頃に合わせて夕飯の準備をするが、最近は帰宅時間がばらばらなので、一緒に食べることは少ない。

 ゆえに、けたたましくても、朝食を家族揃って食べることが、紅家の輪をたもつ要であり、あたしの責任なのである。


 パンツなど見せているヒマは無いのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る